白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2011.12.7 
           

 

基礎代謝量を計算しよう


その1:基礎代謝とは?

その2:太っている人は暑苦しい・・・という迷信


附録:基礎代謝量計算表(基礎代謝量を自動計算するページです)

    食事・運動療法シミュレーション

生活強度について
いつも仕事で歩くことが多ければ、デスクワークと比較して生活強度は少しだけ高くなります

筋肉をつけることで基礎代謝量がどうなるか、ということを考える前に、生活強度について理解しておくことが必要です。ここで簡単に記載しておきます。

日常生活には、通勤や通学、家事といった、トレーニングとは異なった体を動かす時間が含まれます。運動の強さや時間は日々の変化も大きいため、平均的にどのぐらい運動しているのかを考慮したものが生活強度です。生活強度は1~4までの度数で示し、日本人の平均的な数値は一応「Ⅱ(2)度」として考えますが、本来は年齢や個人差が大きいのも事実です。

もしも体重に変化がなければ、食事から得られるエネルギーの量と、基礎代謝量と生活強度から計算される運動による消費を合わせたエネルギー量(エネルギー所要量)は、以下の等式のように釣り合っていることになります。

 (エネルギー所要量:現在の体重を維持するために必要なエネルギー量)
  食事によるエネルギー摂取量基礎代謝量生活強度別の運動エネルギー消費量


筋肉をつけることで基礎代謝量は上がる?
体操選手やクラシックバレーのダンサーは、脂肪組織が少ない反面、深部の腸腰筋(ちょうようきん)などが発達しています

ダイエットをする場合、運動によって消費エネルギーを高めることが大切、と説明されることがあるかもしれません。個人的にはこの意見には同意しかねます。端的に表現すれば、食べた分だけ動けばよい、というのは、体を酷使することと変わりはないとも思うのです。

奇しくも大量生産・大量消費するバブルの時代は終わり、エコロジー・省エネルギーの時代です。体にとっても同じことで、摂取エネルギーが多くなれば、インシュリンなどのホルモンも必然的に大量に分泌する必要が高まり、一定の時期を過ぎて運動量が減少すれば、糖尿病や高脂血症につながりかねません。例えば、毎日数千キロカロリーを摂取していた往年の名レスラーも、現役としての生活を終えた途端に糖尿病を発症されたという話もあります。また、基本的には痩せているよりも標準体重かそれよりやや重いぐらいのほうが長命であると考えられますが、摂取エネルギー量を制限することで(もちろん必要な分は摂取した上で)、長寿につながる可能性があるという話もあります。


話が脱線しましたが、筋肉と基礎代謝量の話に戻り、ここでは2つの考えを示します。

その①
同じ体積で比較すると、筋肉は脂肪組織に比べて重い、という特徴があります(普通の人は水に浮きますが、一流のボディビルダーは水に沈みます)。

体積が同じ、つまり外見にまったく変化がなく、しかも筋肉の割合だけが増えたと仮定すると、体重は重くなります。それに伴い、基礎代謝量は上昇します。つまり、筋力をつければそのことが基礎代謝量を増やすのではなく、体重が増えた結果としてそれを維持するために必要である基礎代謝量も高まる、ということです。


その②
筋肉のトレーニングによって現在よりも筋力をつけるということは、前述の生活強度に含まれない運動時間を確保するということです。日常生活とは別の時間をさいて鍛えた筋肉(筋力)は、使わなければすぐに衰えてしまいますので、筋力を維持し続けるためには、かかさずトレーニングを行うことが必要になります。

結果的に、生活強度は常に高く保たなければならないということになりますので、前項目の等式を参考にすると、食事の量を増やさずに生活強度を高めるのであれば、基礎代謝量とは無関係に消費エネルギー量が高まった結果、体重が減少するということにつながります。

ただ、食事の量を増やさずに、生活強度を高めた運動を続けることができる人は果たしてどのぐらいいらっしゃるでしょうか? そうした訓練をかかさず行う必要のある職業に就いているか、部活動などでそうした協力が常に得られる環境にあれば別ですが、時間的にも相当の余裕がなければ難しいかもしれません。


太っている人と一緒にいると暑くなる・・・という迷信

大勢の太っている人と一緒の部屋にいると、部屋の温度が上がって暑苦しくなる、いう話を聞いたことがありませんか? 実はこれ、まったくの思い込み・俗説にすぎません。痩せた人よりも太った人のほうが一般的に代謝量は高く、熱の放散に影響する体表面積も大きいことは事実です。ところが、体脂肪というのは断熱効果が高いため、体表面積を考慮しても、むしろ痩せた人のほうが熱を放散しやすく、閉め切った小部屋では痩せた人と一緒にいるほうが、部屋の温度は上昇しやすいのです。

例えるならば、冬に使うカイロに ①タオルを何重にも巻いたもの、②1枚のタオルに巻いただけのもの、どちらが温かくなるかを想像してみるとわかりやすいかもしれません。太っていることで呼吸音が荒くなることや(運動不足)、視覚的・心理的影響はともかくとして、実質的な室温への影響は痩せている人のほうが大きいのです。


本文はここまでです。次のページは1才以上を対象とした、基礎代謝量を自動計算する表です。カロリーから運動量を計算する表もつけていますので、お試しください。


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