冷え症と低体温、似て非なる「冷え」対策
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生物学的に見た場合、寒冷環境下では皮下脂肪の多い女性のほうが消費カロリーを抑えることができるとか。「冷たい」女性ほど優秀だった……?
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最近、
「低体温の人が増えている」
「低体温になると免疫力が低下して、ガンになりやすい?」
というウワサを耳にしました。真偽のほどは定かではありませんが、仮に真実だとすれば、低体温の人が増えている原因には生活様式・環境の変化、あるいはお腹の脂肪沈着を代表とする、メタボリック症候群の増加にも関連している可能性があります。
皮下脂肪は、体の内部の熱を皮膚表面に伝わりにくくします。寒冷環境下では、消費エネルギーを少なくすることで生物の生存にとって有利に働きますが、過剰な皮下脂肪の沈着によって、見かけ上低体温になっているという可能性もあります。つまり、
- 脂肪沈着→体温が表面に伝わりにくい→見かけ上の低体温→低体温が病気をもたらす?
「脂肪の沈着が低体温になる」という考え方です。しかし、反対に何らかの病気があって、低体温や脂肪の沈着につながるということも考えられます。
- 代謝が低下する(病気)→低体温や脂肪沈着(肥満)になる
いずれにしても、低体温や冷え症が病的なものなのかそうでないのかを見分けるのは大切なことです。ところで、低体温と冷え症、この違いをご存知ですか?
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低体温は増えているって、本当? ちなみに誤った情報を意味する「ガセネタ」とは、「お騒がせネタ」という言葉から生じた警察用語とか。
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体温とは関係なく自覚症状に基づいて、手足などが部分的に冷たくなることを一般的に冷え症と呼びます。これに対して低体温とは、体全体の体温が低下することを指す医学用語です。低体温では、体の表面温度だけではなく、深部体温も低下しています。
- 冷え症・・・自覚症状に基づく「状態」
- 低体温・・・深部体温の低下を示す医学用語
もっと正確な表現をすると、医学的な低体温とは36℃未満とされています。ただし、これは直腸内などのいわゆる深部体温で計測したときのことです。わきの下で測定する場合には直腸温よりも0.6から1℃前後低くなりますから、35度4分未満ぐらいと考えると良いのではないでしょうか。
ちなみに、口腔内で測定したときの体温は、わきの下より0.2~0.5℃低いとされています。また、精密にわきの下で測定した場合の日本人の平均体温は36.89℃という統計があります。
次のページは、低体温の原因と対策についてです。
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