白鯨の健康日記" 筆者:吉國友和  update:2009.4.27. 
           

 

胸膜肥厚とは?


その1:胸膜肥厚、どんな病気?
その2:健康診断で胸膜肥厚を指摘、どうする?
その3:(おまけ)これって何のカゲですか?
その4:豆知識 肺尖部の胸膜肥厚


胸膜肥厚を初めて指摘されたとき

去年までは異常を言われたことがなかったのに、今年初めて「胸膜肥厚」を指摘されたという場合、主に3つの理由が考えられます。

1 撮影したときの写り具合が前回と違った(撮影条件の変化)
2 本当に新しい病気が出現した(病気の新規発症)
3 レントゲン・健康診断の担当医が変わった(読影方針)


1番目の撮影条件の変化について
レントゲンは呼吸を止めて撮影しますから、呼吸の仕方によっては若干写り具合が異なってきます。普通のカメラでも、天候などで移り具合が違うのと同じことです。初めて胸膜肥厚を指摘されたとしても、もともと胸膜肥厚があったのに、写り方によって見えていなかっただけなのかもしれません。


2番目の新しい病気の出現
本当に新しい変化であれば、精密検査をすべき・・・というのは容易にご理解いただけると思います。肺結核や胸膜中皮腫といった、重大な病気も胸膜肥厚の原因となることがあります。


3番目の「担当医が変わったから!」
ここで特筆すべきは、最後に挙げた「担当医(読影方針)が変わった」という理由です。どういったことなのか、具体的にご説明します。


医者も人間、レントゲンの判定には迷うことも

「明らかに治療は必要ではない」「病的ではないと考えられる胸膜肥厚」
仮に、こうした所見のあるレントゲンを見たとします。これには炎症の後の変化などが含まれるわけですが、ある医師は


A 「病気とは言えないのに所見を記載したことで患者さんが心配するといけないから、胸膜肥厚という記載はあえて省略しておこう」


ということもありますし、同じ写真であっても他の医師の場合には、


B 「いや、精密検査までは必要ないかもしれないけれど、所見としては認められるので、胸膜肥厚と判定した上で、経過観察と記載しておこう」


あるいは


C 「わずかな変化だけれど胸膜肥厚は間違いなく存在する。精密検査をしなければ病気ではないと断言できないので、判定は保留して要精密検査だ。」



ということもあります。胸部レントゲン写真の異常の有無は、人間の眼で判定します。血液検査のように数値化することが難しいものですから、同じ所見であったとしても医師が異なれば解釈も異なる可能性があるのです。

なお、この中からあえて選択するならば、B「胸膜肥厚あり、経過観察」というパターンが現実には多い気もします。医療機関・医師によっては、前回受診時・健康診断時ののレントゲン写真と比較して、新たな変化がないかを確認した上で判定するようにしています。前回写真と比較することは、より精度を高める手段の1つだと思います。

また、2人の医者が別々にレントゲンをチェックして、後でつき合わせて判定するというダブルチェック、3人で確認するトリプルチェックといった手段によって、1枚のレントゲンを巡って診断精度を高めようとこうした方法が取られることもあります。


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