白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.4.27 
           

貧血を改善しよう:その5


その1:原因不明の体調不良
その2:女性の鉄分不足
その3:貧血の症状、加齢によるヘモグロビン濃度の変化
その4:貧血といえば鉄分、でも・・・?
その5:貧血の原因・種類(参考)


貧血の原因・種類

貧血の分類方法には、①赤血球恒数による分類、② 原因による分類、の2つがあります。診断のためには、赤血球恒数によって大別、そこから更に詳しく調べて確定診断に至る・・・という流れです。赤血球恒数についてちょっとだけ確認しておきます。

赤血球恒数(MCV,MCV,MCHC)
MCV:平均赤血球容積 = ヘマトクリット(Ht)÷赤血球数(RBC)
   →平均的な赤血球の容積を表す
   基準値 80~100(μlあるいはfl)

MCV:平均赤血球ヘモグロビン = ヘモグロビン濃度(Hb)÷赤血球数(RBC)
   →赤血球1個に含まれるヘモグロビンの平均量を示す
   基準値 28~32(pg)

MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度 = ヘモグロビン濃度÷ヘマトクリット
   →赤血球中のヘモグロビンの平均濃度を示す
   基準値 32~36%

このうち、MCV・MCHCの2つを使って分類するのが一般的です。この赤血球恒数で貧血を分類した場合、教科書的には以下の3つのパターンになります(臨床の現場では、微妙に数値が重なっているので迷うこともありますが)


赤血球恒数


① 小球性低色素性貧血(MCVが80以下、かつMCHC30以下)

赤血球の形も小さく、1つ1つの赤血球に含まれるヘモグロビンも少ないというパターンです。赤血球が未熟な状態で産生される、と考えるとわかりやすいかもしれません。

代表的なものとして、鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、先天性トランスフェリン欠乏症、感染症や炎症・腫瘍に伴う二次性(続発性)の貧血、サラセミアなどのグロビン合成異常、があります。

②正球性正色素性貧血(MCVが80~100、MCHCは31~35)

出血による貧血はこのパターンです。他にもいろいろな機序で起こります。急性の出血、溶血性貧血、骨髄低形成(再生不良性貧血・赤芽球癆:せきがきゅうろう)、腫瘍が骨髄に浸潤した場合、骨髄異型性症候群、などです。


③大球性正色素性貧血

骨髄が巨赤芽球性変化を示す場合と、そうでない(変化を示さない)場合があります。前者では赤芽球のDNA合成に異常がある場合で、更に分類すると次の4つになります。
ⅰ ビタミンB12欠乏
ⅱ 葉酸の欠乏・代謝異常
ⅲ 先天性・薬剤などによるプリン・ピリミジン・DNA合成異常
ⅳ その他



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