貧血を改善しよう:その1
「何となく体の調子がおかしい」
「やたらと体がだるい」
「立ちくらみや眩暈(めまい)がする」
こんな症状を伴う理由の1つが貧血です。女性の方は一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。「いつものことだから」と慣れてしまっている方もいらっしゃるかもしれませんが、貧血があると心臓に負担がかかってしまいます。
貧血といえば鉄分、というイメージがあります。酸素を運搬する役割を持つ赤血球のヘモグロビンは、色素部分の「ヘム」と蛋白部分の「グロビン」で構成され、「ヘム」の中心部には鉄が存在し、酸素と結合されています。鉄は正常な血液(赤血球)を造る材料とも言えます。
毎日の食事によって、男性で約1mg、女性では約2mgの鉄分が吸収され、同じぐらいの鉄分が尿や便、汗などからほぼ同じ量の鉄が失われています。でも、単純に収支だけを考えると、下手をすれば自転車操業です。このままではいつか
「♪プラマイゼロ、むしろマーイ(ナス)」
という事態も考えられます。
現実には、人間の体には、古くなった血液を脾臓で壊し、中に含まれていた鉄分を再利用する(※)、あるいはもしものときに備えて蓄えられていた鉄分を利用するという働きが備わっています。貯金を切り崩すようなものですが、余裕のあったときにためておけば、しばらくは乗り切れそうです。
(※)1日あたり15~25mlの老化赤血球が壊され、中の鉄分約15~25mgが再利用されるとされています(長崎大学医学部原研内科 血液内科学病室実習マニュアル
平成10年版より)。
そんなこんなで、見かけ上の摂取する鉄分量と喪失する鉄分量は少なく見えますが、体内ではかなりダイナミックな鉄分の動きがあるわけです。水面下で足をバタバタさせて泳ぐ白鳥さながらです。こうしたことがあって初めて、鉄分の1日で吸収される量と喪失する量はほぼ完全にバランスを保つということになります。
しかし、閉経前の女性の場合、月経のたびに出血を繰り返します。鉄分のバランスが崩れないでしょうか?
次のページでは、女性の鉄分不足について考えてみます。
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