貧血を改善しよう:その3
血液の成分の1つ、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」は、肺から取り込んだ酸素を運搬する役割を持っています。このヘモグロビン量が体にとって不足した状態を貧血と呼びます。貧血では酸素の運搬力が低下しますので、全身への酸素供給を補うために心臓が過度に活動せざるを得なくなり、結果として動悸や息苦しさを感じたり、更に悪化すると心臓の機能が追いつかなくなってしまいます(心不全)。
貧血の症状・・・顔色が悪い(ヘモグロビン濃度が9g/dl未満)
→結膜・爪・手のひらをチェック
動悸・息切れ(呼吸困難感)、
つめの形状の変化(スプーン状)
時に異食症を伴うことも。
豆知識! 異食症(Pica)
普段は食べないようなものを好んで食す状態。
貧血では「やたら氷を食べるようになった」「土を食べる」こともあるとか。
カササギ(学名:Pica pica)という鳥の習性で、いろなものを集めては巣作りに用いる行為が、人間から見て「おかしなものばかり食べるんだなぁ」と思ったことが言葉の起源だとか。鉄分が不足するタイプの貧血に限らず、一定の栄養素が不足した場合、こうした行為を知らず知らずとっていることもあるそうです。人間の防御反応・本能なのでしょうか?
診察チェックポイント!
1.腹部所見:脾臓が大きくないか→白血病・悪性リンパ腫・骨髄線維症、溶血性貧血など)
2.口の中:舌炎(発赤、舌乳頭の萎縮有無)→悪性貧血、高度の鉄欠乏性貧血
3.手:爪の形状(スプーン・さじ状に変化)→高度の鉄欠乏性貧血
貧血の目安であるヘモグロビンは年齢とともに変化します。おおまかな基準は以下のとおりです。
出生直後 18g/dl(男女差なし)
生後6ヶ月 12~13g/dl
思春期~ 男性 16±2g/dl、女性 14±2g/dl
80才頃 12~13g/dl(男女差なし)
ヘモグロビン濃度は、男性では20代、女性では思春期にピークを迎えます。女性の場合、20~30代に一時的にヘモグロビンは低下傾向となりますが、ホルモンバランスの変化する閉経期以降は男女差は再び小さくなり、80才を過ぎると男女差はかなり小さくなってきます。
☆「貧血」の診断基準
成人男性:13~14g/dl未満、成人女性:12g/dl未満
妊婦さんやご高齢の方の場合には11g/dl未満
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