
基本事項
肺 炎
気管支喘息
睡眠時無呼吸症候群
アスベスト検診
禁煙外来
実際の入院費(70才未満)
実際の入院費(70才以上)
インフルエンザ薬予防内服
医療費について
このページに表記しています医療費は検診を除き、保険診療(3割負担)による
金額の目安を示しています。このため1割保険の方では更に低額となります。
(必ずしもちょうど3分の1になるとは限りませんのでご注意ください。)
また、医療機関の規模・検査項目などで差額が生じますが、治療内容の優劣を示すものでは
ありません。このページは以前に勤務していた病院での医療費を参考にしていますが、文中の
表現にはなるべく修正を加えずに掲載しています(例「当院の」という表現のある部分は、
過去に勤務していた医療機関での検査・治療内容に基づいています)。
入院病室は差額ベッド代の生じない大部屋での計算で、テレビ代・病衣代などの保険外
請求となる雑費は含みません。
治療成績については、広告規制のため記載することができませんのでご了承ください。
当院では肺炎、気管支喘息、睡眠時無呼吸症候群などについてクリニカルパスを
作成しています。クリニカルパスは疾患ごとに入院中の検査予定、治療計画などを
示したものです。
注意:疾患の重症度によっては個々での治療計画を検討する必要がありますので、
同じ疾患名であっても重症度・合併症・既存症などによってはクリニカルパスを
用いることができない場合もあります。
すべての患者様に同一の治療を行うことはありませんが、このクリニカルパスを
用いた一般的な治療内容から医療費を計算することで、おおまかな目安になるかと
思います。
入院費用にかかる基本事項(H.18.4.1~H.20.3.31(※))
(※)平成20年度の医療費改訂によって、検査料・薬剤費用などに若干の
変更がありましたが、計算が煩雑なだけではなく、保険適応後の
総費用額も極端な変動ではありませんので、このページはそれまでの
医療費をそのまま表示することをご了承ください。年齢別に分けた
実際の入院費については、不定期ですが更新していきます。
(これまでのデータを含んだ平均で示します。)
1日当たりの入院基本料は医療機関の規模(病床数など)によって異なります。
当院の急性期疾患(一般的な入院)の入院基本料は一般病棟Ⅱ群(3)となって
おります。
入院基本料(診療報酬は保険診療の場合1点10円として計算されます。
以下の点数表に更に看護加算などが加わり、年齢などによっても異なるため
ここでは加減算後「一般(70歳未満)」での1日当たりの点数を示しています。
|
基本料区分 |
平均在院日数 |
1~14日 |
15~30日 |
31~90日 |
当院
急性期病棟 |
一般病棟(15:1) |
60日以内 |
1478点 |
1242点 |
1050点 |
他院例 |
一般病棟(7:1)
この点数に更に疾患・救急加算
などが追加されます(※) |
19日以内 |
1983点 |
1747点 |
1555点 |
※医学管理加算(60点/日),地域医療支援病院入院診療加算(1000点/初日)
臨床研修病院入院診療加算(40点/初日),救急医療管理加算(600点/7日間まで)
診療録管理体制加算(30日/初日)など
急性期病棟(入院)について
平均在院日数とは、区分の入院基本料を採用している医療機関の急性期病棟に
おける対象となる患者様の平均入院期間がこの範囲内でなければならない要件です。
このため急性期病棟を有する医療機関では、各々の規定されている平均在院日数を
短縮することが求められています。
当院は、ここに述べました急性期病棟(院内3階)と慢性期病棟(療養型病床:院内2階)の
2つの入院形式があります。
このような2種の入院形態を持つ病院をケアミックス病院・病床と呼びます。
ここから当院でのクリニカルパスを用いた場合の疾患毎の目安を示します。
(合併症がなく、クリニカルパスのとおりに治療を進めることができた場合の目安です。)
含まれる費用:検査費、治療費(薬剤費など)、入院費、食費
胸部CT検査については必要でない場合もありますので、ここでの
目安には費用を含んでいません。
仮に胸部CT検査が必要な場合、1回の検査につき3,620円の
追加費用(3割負担額の場合)が必要です。
食費は1食当たり260円のご負担となります。ここでは1日に
3食、780円として計算しました。
含まれない費用:病衣、テレビ、個室料(差額ベッド代)、文書料(診断書など)
肺炎で入院となった場合:点滴注射期間3.5日+内服3日間(軽症ないし中等症)
ただし、全身状態により点滴期間が延長されます。
以下の表は初期治療に用いる抗菌薬が有効であった場合の目安です。
肺炎の詳しい説明はこちらをご覧ください。
治療期間には誤差が生じることがありますが、目標は7~10日以内としています。
11日目の目安は、治療後に経過観察(血液検査などで再発の確認)を行う
などのため、目標としていた入院期間が延長となった場合です。
また、全身状態が良好で、外来で経過観察を行う場合は4日以内の退院も可能です。
中等症以上の肺炎では胸部CT検査が必要なことがあり、その場合には
3,620円の追加費用を要します。下記表中の医療費はCT検査料を
含んでいません。
入院期間 |
点滴に用いる
抗菌薬の種類 |
4日間 |
7日間 |
11日間 |
|
ペニシリン系 |
34,010円 |
52,670円 |
75,090円 |
セフェム系 |
34,510円 |
53,170円 |
75,590円 |
テトラサイクリン系
(後発医薬品) |
31,470円 |
50,120円 |
72,550円 |
注意:上記薬剤中のテトラサイクリン系抗菌薬は、特殊な病原体による肺炎に
用いており、一般的にはペニシリン系ないしセフェム系薬剤を用いることが
多いです。なお、当科ではペニシリン系及びテトラサイクリン系薬剤では後発医薬品
(ジェネリック医薬品)を用いています。
また、当院では点滴により肺炎が改善傾向となれば早期に内服薬に変更する、
スイッチ療法を取り入れています。このことで医療の質を維持しつつ入院期間の
短縮及び患者様への負担(ストレス、医療費など)を軽減できるよう努めています。
内服薬も様々な種類がありますが、ここでは当院採用薬のうち比較的高額な薬剤を
目安としました。
参考:従来の治療の場合:平均入院期間11日間(国内での平均費用の統計)
医療費約90,000円以上(3割負担額、食費別)
後発医薬品・・・先発医薬品の特許権が切れた後に販売される、同成分を含有するとされる
医薬品です。特許権のないぶん安価な薬品が多いですが、薬剤によっては
同量を投与した場合でも、吸収される成分量に差が生じ、先発医薬品と
同じ効果が得られないことがあるため注意が必要です。
先発医薬品では投与後の血中濃度・副作用などの調査が行われるために
安全性を示すデータがありますが、後発医薬品ではこういった調査は一般的に
行われないため、海外と比較すると国内では使用量が少ないです。
ページトップへ戻る
気管支喘息で入院となった場合:点滴注射期間3~4日
+内服・吸入療法7日間以上
(退院後も継続治療を要します)
※体重・年齢などで薬剤量が異なります。
気管支喘息では入院期間に大きく個人差が生じますが、入院期間の目安は
(肺機能検査:肺活量などの結果によって外来治療に変更可能と判断できれば、)
7~14日を目標としています。また、退院後に外来で経過観察となった場合は、
外来受診時に(必要であれば)血液検査・レントゲン写真・肺機能検査及び
再診料などが加わります。
入院期間 |
4日間 |
7日間 |
11日間 |
軽症 |
33,430円 |
51,770円 |
73,640円 |
中等症 |
35,070円 |
53,400円 |
75,280円 |
実際には年齢・体重・重症度などを考慮して薬剤量を変更していますので、
上記金額は変動します。気管支喘息の内服・吸入薬については別ページでも
薬価を示しています。
ページトップへ戻る
睡眠時無呼吸症候群検査で入院となった場合
検査:ポリソムノグラフィー、血液検査、レントゲン写真
肺機能検査(肺活量)、検尿検査
睡眠時の無呼吸状態を調べる検査の他、高脂血症などの合併症もあわせて
検査します。
睡眠時無呼吸症候群と診断され、呼吸補助装置(CPAP:持続陽圧呼吸)での
治療を要する場合は最低月1回の外来受診、以下の治療費が必要となります。
CPAP治療 |
外来診察・治療料(月1回) |
共通 |
4,710円 |
ページトップへ戻る
禁煙外来にかかる費用(平成18年のものです。最新の情報は禁煙外来のページを参考にしてください)
ここでは当科で治療を行う場合に、目安となる金額を示しました。
喫煙状況には個人差がありますのでここでは標準使用量を目安にしました。
平成18年4月より生活習慣病の重症化予防にかかる評価の見直しの1つとして、
ニコチン依存症管理に関する項目が新設されました。禁煙を目指す方へのサポートを
行うことで、将来的な喫煙関連疾患の予防・ひいては医療費の抑制につながることが
考えられています。
|
受診時期 |
外来受診料
禁煙指導料
合計(3割負担額) |
薬剤費用
(3割負担額) |
合計
(保険3割) |
初回
|
1日目
(第1週) |
1,700円 |
1,690円
(14日分) |
3,390円 |
2回目
|
15日目
(第3週) |
1,020円 |
1,690円
(14日分) |
2,710円 |
3回目
|
29日目
(第5週) |
1,080円 |
3,050円
(28日分) |
4,130円 |
4回目
|
57日目
(第9週) |
880円 |
0円 |
880円
|
5回目
(最終回) |
85日目
(第13週) |
870円 |
0円 |
870円 |
総費用額:11,990円(3割負担額):12週間
8,040円(2割負担額):12週間
(注)上記の表は標準的な禁煙補助を行った場合の内容です。
実際には喫煙状況などによって、個人差があります。
ページトップへ戻る
アスベスト検診にかかる費用(詳しくは検診の項を参考にしてください)
検査内容:レントゲン写真、肺機能検査(肺活量)、喀痰検査
当科ではアスベスト(石綿)による)肺障害についての検診を行っています。
検診では保険適応となりませんので、実費が必要となります。
(ただし、問診・症状などからアスベストによる肺障害の疑いがある場合には
保険診療となります)
この結果から何らかの異常が疑われる場合には、胸部CT検査や気管支鏡
検査などの精密検査をお勧めします(両者とも当院で可能です)。
内容 |
費用 |
診察 |
2,700円 |
胸部X線写真 |
2,420円 |
肺機能検査 |
2,200円 |
喀痰検査 |
3,360円 |
小計 |
10,680円(注1) |
値引き後(注2) |
8,190円(税込) |
注意
(注1)「環境にアスベストが存在していた」など問診・診察所見などから
明らかにアスベストに関連した疾患が疑われる場合は通常の保険診療として、
以下の費用となります。
例:3割負担の方 3,840円(+初診料 約480円)
1割負担の方 1,280円(+初診料 約160円)
(注2)値引きは検診のみ行っております。注1に示しました保険診療との
併用はできません。
ページトップへ戻る
当科入院(クリニカルパス使用可能であった場合)にかかった実際の費用(70才未満)
医療改定(平成18年4月)前のデータを含んでいます。
全身状態が比較的良好な肺炎軽症例では、ご本人の希望によっては外来治療を
行っていますので、この表には含んでいません。(入院例のみの集計です。)
また、独居などのため治療後も自宅への速やかな退院が難しく、経過観察だけのために
長期間入院(約3週間以上)となられた場合は、算出源から除外しています。
保険種別により自己負担額が変化するため、ここでは70才未満(自己負担額3割)の
平均額を示しました。(70才以上の方にかかった費用はさらに下の表です。)
ここでの医療費には治療費の他、食費(通常食:1日負担額780円)を合計しています。
疾患 |
肺炎 |
気管支喘息 |
睡眠時無呼吸症候群 |
医療費 |
49,455円 |
74,698円 |
23,423円 |
平均年齢 |
39.8歳 |
56.3歳 |
45.0歳 |
入院日数 |
6.5日 |
10.3日 |
2.0日
(1泊2日) |
重症度
(肺炎) |
1.50 |
|
|
肺炎の重症度:日本呼吸器学会の分類により軽症~超重症までの4段階で評価
軽症を1、超重症を4として数値化して示しています。
→2以上の場合、胸部CT検査を施行している可能性があります。
CT検査料:3,620円(平成18年3月までは4,150円)
肺炎、気管支喘息ではそれぞれの疾患を併発された症例を含みます。
この場合、臨床的により重症と考えられた疾患を主な病名としました。
例:気管支喘息(中等症)に肺炎(軽症)を併発
→実際にかかった医療費は「気管支喘息」の項目に含んでいます。
(治療そのものは気管支喘息と肺炎の治療を同時に行っています。)
なお、余病(入院原因以外の病気)、合併症などの治療費を含んでいますので、
このページ上部で示しました目安の費用にプラスαとなっています。
また、食費は含んでいますが、保険適応とならない差額ベッド代、病衣、テレビ代
などの費用は除外しています。
ページトップへ戻る
以下の表は70才以上の方にかかった入院医療費です。
保険制度では年間収入により自己負担率が異なっていたため、1割の負担率の方に
かかった費用についても再計算し、2割負担額として示しました。
持病(高血圧など)の治療費や、入院中に行った皮膚疾患の治療費なども含んでいます。
ご高齢の方では治療終了後も経過観察のために、ご本人ないしご家族が入院期間の
延長を希望されることが多く、実治療日数より長期となり、これに伴って負担額も
高額となっている可能性があります。
また、誤嚥性肺炎(繰り返す場合)やCOPD急性増悪を併発した例など、特殊な肺炎で
クリニカルパスを利用できない場合は除外して計算しています。
疾患 |
肺炎 |
気管支喘息 |
医療費 |
53,395円 |
71,760円 |
平均年齢 |
85.0歳 |
83.5歳 |
入院日数 |
9.0日 |
15.5日 |
重症度
(肺炎) |
2.25 |
|
(参考):平成18年4月の医療改定前のデータです。
以下の表は全日本病院協会ホームページに記載されている医療費を参考にした目安です。
※実際のページでは保険適応前の全額負担額が表記されており、食費は別計算でしたが、
当院の現状と比較しやすくするため、保険適応による負担額を3割・食費を
1日780円として再計算しました。
疾患 |
肺炎 |
気管支喘息 |
医療費 |
174,273円 |
97,479円 |
入院日数 |
19.4日 |
10.0日 |
ページトップへ戻る
インフルエンザ薬の予防投与
予防投与に関しては、原則として保険適応にはなりません。このため、インフルエンザに
かかっていない場合にかかる費用は、成人では次のようになります。
(保険点数は仮に保険の対象となった場合の点数である初診料273点、投薬料は
タミフル®374点・リレンザ®398点を基準として計算しています。平成20年時点)。
タミフル®……6,570円(1日1回1カプセルを10日間内服)
リレンザ®……6,810円(1回2吸入として1日2回、合計1日4吸入を5日間)
なお、治療に用いる場合、タミフルRは1日2回5日間内服、予防として用いる場合には
1日1回7~10日間内服とされています。今回の計算は10日間内服の場合です。
予防投与ができるのは、その時点ではインフルエンザという確定診断が得られておらず、
かつインフルエンザウイルス感染症を発症している患者さんの同居家族または共同
生活者であり、最終的に医師が必要と判断した方です。次のような条件があります。
- 65歳以上
- 代謝性疾患(糖尿病など)がある
- 腎機能障害がある
- 慢性心疾患がある
- 慢性呼吸器疾患がある(※)
(※)なお、リレンザRは吸入薬であるため、気管支喘息を含む慢性呼吸器疾患が
持病である場合には、気管支へ影響を与える可能性のあることから予防投与の
対象となっていません。
ページトップへ戻る

筆者:吉國友和