肺炎を予防する、肺炎球菌ワクチンとは?
その1:肺炎を予防する方法
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肺炎を予防する3つの方法 |
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うがい・手洗いは感染症を予防する最小限の対策です。さらに予防効果を高めるためのワクチンが開発されています。
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手洗いやうがいは、感染症を予防するための基本的な手段です。その上で、呼吸器感染症である肺炎の予防効果があるとされている3つの方法は次の通りです。
- 口腔ケア(口の中を清潔に保つこと)・・・寝たきりの患者さんに合併する誤嚥性肺炎
- インフルエンザワクチン・・・COPD(肺気腫・慢性気管支炎)の患者さん
- 肺炎球菌ワクチン・・・後述
上から2つは、それぞれ基礎疾患のある方で有効性が高いとされています。口の中の雑菌が誤って肺の中に入って生じる誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎)については、看護・介護による口腔ケアが重要視されていますし、COPDの患者さんではインフルエンザワクチンを接種することで冬季のインフルエンザに併発する肺炎の予防効果も確認されています。
そしてもう1つが、肺炎球菌ワクチンです。非常に有用な「肺炎のワクチン」ですが、すべての肺炎を予防できるわけではありません。それでも、基礎疾患のある人はもちろん、中高年以降ではすべての方に検討していただきたいワクチンです。今回はこの肺炎球菌ワクチンについて簡単に説明したいと思います。
肺炎とは様々な病原体によって生じる、肺の炎症を総称したものですが、家庭で日常生活を送られている方に生じる肺炎のうち、肺炎球菌というバイキンが原因となるのは約30%です(※)。
肺炎球菌ワクチンとは、この「肺炎球菌」による様々な病気を予防するためのワクチンです。肺炎球菌は健康な人の口の中にも存在しており、小児の中耳炎の原因としても知られています。
(※)医療機関の規模・患者さんの年齢などの背景によっても異なるのですが、おおむね30~50%程度とされています。
肺炎球菌が原因となるのは肺炎のうちたったの30%か、そんなに予防効果はないかも……と、思われるかもしれませんが、
① 抗生物質が効きにくい肺炎球菌が近年増加している
(ワクチンの有効性には影響なし)
② 日本人の死因第4位にも上る、肺炎による入院や死亡のリスクを低下する
③ 一度の接種で5年間ほど免疫が続くこと(個人差があり5~9年間とも)
こうしたことを考慮すると、非常に有用です。肺炎にかかって入院した場合の医療費を考えると、費用対効果の面からも優れていることがわかります。
肺炎で入院した場合の総医療費・・・約25万円(保険適応、自己負担額は異なります)
肺炎球菌ワクチンの費用・・・6,000~8,000円ぐらい(費用の最新情報はこちらを参考にしてください。一部を除き保険適応外です:次ページ参照)
次のページでは、ワクチンの接種対象についてご説明します。
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