白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.10.8 
           

新型インフルエンザ(院内レクチャーより)


その1:従来のインフルとの差異
その2:ワクチン・致死率の情報は正しいのか?
その3:予防法・今後の予測
その4:参考:インフルエンザの治療費(予防投与など)


インフルエンザの特徴

先日、病院職員を対象にしたレクチャーを行いました(私的見解を含んでいます)。
最初に、従来のインフルエンザ(以下季節性インフル)と新型インフルエンザの
違いをまとめた表を提示します。

  季節性インフル  新型インフル 
抗原   A型 H1N1(Aソ連)
    H3N2(A香港)
 B型
 C型…臨床的に問題になることは少ない 
 A型(H1N1亜型)
簡易検査
(陽性率)
 A型であれば90%以上で陽性
(発症初期には陰性となることも)
発症から時間が経っても陽性率が低い
 (40~70%)
流行期  主に冬季を中心
(地域によっては6月頃まで流行することも) 
 夏季を中心?
感染ルート 
飛沫感染が主と考えられている
(一部に接触感染・空気感染の可能性)
空気感染を生じうるネブライザーは原則禁止
抗ウイルス作用
あるいは有用性が
示されている薬剤
(アマンタジン→現在は耐性株が多い)
タミフル® 
リレンザ®
麻黄湯
タミフル®
リレンザ®
その他、併用することのある薬剤(例) ・解熱鎮痛剤
(小児ではアセトアミノフェンのみ使用可)
・ムコダイン®(去痰薬)
・抗菌薬(主にニューキノロン系)
 
ワクチン  重症化を防ぐことが確認されている
大多数が接種すれば、
流行そのものを予防することも期待される
(個人単位での予防効果は小さいが、老人保健施設などで、職員を含めて全員が接種すれば流行を抑制する可能性がある)
新規開発されたワクチンであるため、予防効果については今後の検討が必要。ただし、有効性を示すデータは示されつつある
推定致死率
(※後述)
 約0.02%  0.4%


次のページでは、ワクチン・致死率の示す問題についてご説明します。


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