白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.5.1. 
           

 

緊急! 豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)


その1:新型インフルエンザウイルス発生か?
その2:過去に発生した豚インフルエンザの事例
その3:ワクチンの開発について(私見、5月1日加筆)


季節性インフルエンザワクチンを優先すべき

このページは、個人的な見解だけを記載します。科学的根拠を示すことができない内容を含みますので、こんな考え方もあるかな、ぐらいに受け止めてください。

人が東西南北、あるいは海外へと大移動するゴールデンウイークが明けてから、国内でも新型ウイルス感染が確認されるのではないかと懸念しています。今回の「新型ウイルス」はいずれ国内にも広がるかもしれませんが、前ページで記載しました、現行ワクチンと新型ワクチンのどちらを優先すべきか、という問題については、個人的には

現行の季節性インフルエンザワクチンを優先すべき

と、考えています。
その理由は次のようなものです。

  1. 新型ウイルスは重症化を招く遺伝子を欠いている。従来の季節性インフルエンザのほうが、より深刻な健康被害を招くのではないか
  2. 従来のワクチンは、インフルエンザに罹患する確率を下げることはできないが、肺炎や脳症などの重症化を防ぐ効果がすでに実証されている(次の項目参照)。
  3. 今からワクチンを製造したとしても、その効果を実証するのに何年かかるのか、それまでに新たな対策を練ることが可能なのか

反対に、豚インフルエンザウイルスのワクチンを製造しない場合、気がかりなのは次の点です。

  1. 過去のスペイン風邪の例を見ても、新型インフルエンザウイルスが発生した年の被害は小さく、その2年目に大流行を起こしている。つまり、現在発生している新型ウイルスは、次のシーズンに本格的な大流行を招く恐れがあるため、対抗するワクチンの開発を行うのであれば、可及的速やかに行うべきである。
  2. Aソ連型(H1N1)に近いウイルスとは言っても、まったく同一のものではない。重症化する遺伝子を欠くウイルスであり、致死率は低いとしても、感染力が強いウイルスであれば莫大な人数に感染し、免疫力の低い小児・高齢者を中心に生命の危機に瀕するケースが急増するのではないか(致死率がゼロでない以上、莫大な集団に感染を起こせば、必ず死者が増えてしまう懸念)

新型インフルエンザが、万が一蔓延したとしても「風邪」程度の症状ですむという可能性もあると思います。医療機関としても、重症例はともかくとして、軽症例に関しての過剰な反応は避けるべきかもしれません。封じ込めに失敗した場合には(おそらくはそうなるのではないかと思うのですが)、いずれ「普通のインフルエンザ」と同様の対策になるかと思います。いずれにしても、「大山鳴動してねずみ一匹」であれば良いのですが。


参考:従来のインフルエンザワクチンの効果

一般的な家庭で生活をしている人がワクチンを接種しても、
インフルエンザにかかる確率を下げることはできません。


ただし、老人保健施設などのように、人の出入りが少なく、かつ入居者がほぼ全員ワクチンを接種する場合には、罹患率そのものを下げるという報告があります。

また、従来のワクチンには、肺炎や脳炎などの重症化を防ぐ効果が確認されています。ワクチンは、発症を予防するのではなく、重症化を防ぐために接種するものだと考えると、理解しやすいかもしれません。効果が得られるまでにはある程度の期間が必要なため、季節性インフルエンザの場合、シーズンに入る3~4週間ぐらい前に接種することが目安になります。


ちなみに、感染するリスクの高い医療従事者がワクチンを接種するのは、自分たちが病気にならないためではなく、あくまでも入院している患者さんへのリスクを少しでも軽減するためです(これも私見ですが)。医療従事者も帰宅後は一般家庭での生活となるため、個人単位で接種しても、人との接触を完全にはシャットダウンすることができないからです。(前述の老人保健施設での効果を参照)


参考:新型インフルエンザについて


前のページは、過去に発生した豚インフルエンザの事例についての説明です                    次のページはありません



補足
罹患率
・・・病気にかかる率

致死率
・・・病気のために、
死に至る確率。

鳥インフルエンザから新型ウイルスが出現した場合、罹患率は25%、致死率は3%前後と予測されていました。



「1億2,000万人のうち」

罹患率 25%

→「3,000万人がインフルエンザに感染して」

致死率 3%

→「そのうち90万人が死に至る」


従来出現が予測されていた新型インフルエンザウイルスは、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が人から人に感染するようになることが想定されていました。この場合、厚労省の予測では、死者64万人に上るのではないかとも考えられていました。