白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.4.27. 
           

 

緊急! 豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)


その1:新型インフルエンザウイルス発生か?
その2:過去に発生した豚インフルエンザの事例
その3:ワクチンの開発について(私見、5月1日加筆)


過去にも発生した豚インフルエンザ

1976年、米国ニュージャージー州で豚インフルエンザの流行が確認され、近隣の米軍訓練基地の兵士からも同じウイルスが検出されました。当時は「スペイン風邪の再来、いわゆる新型ウイルスではないか」と騒がれたと言います。

この際の対応は迅速であり、即座にワクチンが開発され、わずか8ヶ月で4,000万人以上が接種したとされています。しかし、ワクチンを接種した人では、難病の神経疾患であるギラン・バレー症候群(※)の発症率が当時の8倍にも達したと言われています。ワクチンとの因果関係は立証されていませんが、反対に関与していないと立証することもできません。

また、その後はこの豚インフルエンザウイルスは流行しなかったと言われています。封じ込めを含めた対策やワクチンが功を奏したのか、あるいはもともと流行する危険性が低かったのか、意見は分かれるところです。


季節性インフルエンザワクチン中止?

今回の豚インフルエンザウイルスが大流行を起こす新型インフルエンザウイルスであるとされた場合、これに対するワクチン開発のために現行のインフルエンザウイルスワクチンの生産が中止される可能性があります。ワクチンの生産能力には限界があるためです。

ただし、現行のインフルエンザウイルスも、決して侮ることができません。現行の季節性インフルエンザワクチンの生産を続けるのか、豚インフルエンザ対策ワクチンの開発を優先するのか、あるいはその中間を取るのか……厚生労働省には苦渋の決断が迫られています。(これについて、個人の見解を次のページに記載しました。)


いずれにしても大切なのは「慌てないこと!」です。日本中が豚インフルエンザ騒動でパニックになるほうがはるかに怖いことです。今後の情勢を見極めましょう。




前のページは今回発生した豚インフルエンザについてです                    次のページは,
新型インフルエンザワクチンの開発について私見を述べたいと思います



補足
ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome)

……手や足先などに麻痺が生じ、軽い感覚障害を伴う。報告により異なるが、自然発症率は10万人に1.5~2人。若年層、ついで40代、70代。やや男性に多い。病原体の感染力をなくした不活化ワクチン接種による発症率は100万人に1人。

(南山堂「臨床神経内科学」より一部改編して引用)