白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.4.27. 
           

 

緊急! 豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)


その1:新型インフルエンザウイルス発生か?
その2:過去に発生した豚インフルエンザの事例
その3:ワクチンの開発について(私見、5月1日加筆)



新型インフルエンザか?

メキシコで人から人に感染を起こした豚インフルエンザが発生し、米国・欧州などでも感染が確認されています。従来、発生するであろうと目されていた新型インフルエンザは、「H5N1」という型でしたが、今回の豚インフルエンザは「H1N1(亜型)」という型です。

「H5N1」は人類がこれまでに経験したことのない新型インフルエンザであり、人類は免疫をまったく持っていないため、発生した場合には世界的な大流行を招き、多くの犠牲者が出ることが予測されています(発生率の予測:25%・・・4人に1人。致死率・・・3%弱か? スペイン風邪補足※1発生時の致死率が3%弱であったと考えられています)。


「H1N1」は従来の季節性インフルエンザのAソ連型と同型であり、人類は多少なりとも免疫を獲得しているのではないかとも考えられていました。しかし、今回報道されているインフルエンザウイルスは、もともと豚の間で感染を起こしていたウイルスであるため、Aソ連型とまったく同一のものではありません(H1N1亜型、補足2参照)。

このため、十分に免疫力が備わっていない状態にある人間の間で、大流行する恐れがあります。


現時点での対策

今後の感染の広がりを見極めるためにも、現時点では発生地域への旅行は控えたほうが無難です。また、やむを得ず当該地域へ赴く場合には、ウイルス対策用のマスク(花粉症用マスクは目が粗くNG、ウイルスを少しでも通しにくくするためには「不織布:ふしきふ」のマスクがお勧め)を着用することをお勧めします。その他には、うがいや手洗いといった、従来の季節性インフルエンザと同様の対策が基本となります。洗顔もお忘れなく。

予防策まとめ
・当該地域への旅行はひとまず避けるべき
・マスクとうがい、手洗いが基本の対策。
 (マスクは使い捨て、家に入る前にゴミ箱に捨てること!)
・タミフル、リレンザなどのインフルエンザ治療薬も有効である可能性。

なお、豚肉を食べても感染を起こす可能性は限りなく低いと考えられます。これは、インフルエンザウイルスは鼻や気管支などの粘膜を介して感染を起こすウイルスであるため、胃腸から感染を起こすことは理論上ありえないためです(豚肉を生で食べることはあまりないと思いますが、十分に加熱すればよりいっそう安全です)。


過去の豚インフルエンザウイルス発生の事例について次のページでご説明します。




前のページはありません                    次のページは、過去に発生した豚インフルエンザの事例についてです



補足
※1スペイン風邪

1918年ごろから発生したインフルエンザ。この際の抗原は「Hsw1N1」。当時としての新型インフルエンザであった。後にアジア風邪(1957年~、H2N2)の基となったと言われている。


A1(H1N1)→A2(H2N2)への不連続変異。


不連続変異
10~数十年毎の大規模な変異。


※2
現行A型インフル
A1(H1N1):ソ連
A2(H3N2):香港


過去の大流行(歴史)
スペイン風邪
 1918~31,Hsw1N1
     (H1N1)
プエルトリコ風邪,ソ連風邪,イタリア風邪,ニュージャージー風邪など
 1933~,A1(H1N1)
香港風邪
 1968~,A2(H3N2)



追記
2009年4月28日、厚生労働省より今回発生した豚インフルエンザウイルス(H1N1亜型)を新型インフルエンザウイルスとして対応することが発表されました。
4月30日加筆
ウイルスは鳥インフルエンザ、ヒトの香港型インフルエンザ、北米の豚インフルエンザ、ユーラシア大陸の豚インフルエンザの4種が交雑した型と判明。強毒型鳥インフルエンザと異なり、重篤な全身感染症を引き起こす遺伝子は欠損しているため、仮に大流行したとしても重症化しにくいのではないかとの予測。