ダイエット相談
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          初診時の注意点(必ずお読みください)

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      薬物療法       リンパドレナージ

ダイエット外来・ダイエット相談・リンパドレナージ(リンパマッサージ)

はじめに
   このページでは、ダイエット外来について簡単にご説明します。

   将来の生活習慣病を予防するため、メタボリック症候群の解消のため、美容のため・・・
   様々な目的でダイエットを行う方が増えています。しかし、ダイエットがうまくいかない、
   あるいはせっかく痩せたのに目標の体重を維持することができない、そうした方々に
   健康的なダイエットをサポートするための相談(ダイエット外来)を行っています。

   ダイエットに関連した問診票と、一般的な問診票の両方に記入していただきます。
   受診の際には、ダイエットの相談、ダイエット外来、体重を落としたい、など内容が
   わかるように受付に伝えてください。また、ストレスや睡眠不足などが食欲に影響する
   ことがあります。いびきや日中の眠気が強い場合など、肥満による合併症が懸念される
   場合には、睡眠時無呼吸症候群のページもご一読ください。


初診時の注意点

   ダイエットの基本は食事療法です。ダイエット外来も食事指導を中心としていますが、
   運動についての指導や漢方薬などを用いた治療を併せて行います。
   なお、当科で行っているダイエット外来は、医療機関における保険診療(保険適応)です。
   痩せるためのサプリメントやプラセンタといった、保険適応外の治療は行っていません。

   また、高血圧や高脂血症などの生活習慣病の治療を受けられている場合は、主治医の先生から
   食事療法などの指導を受けていらっしゃると思いますので、そのご指示を守ってください。
   (保険診療が重なることから、ダイエット外来の対象となりません。)

   また、年齢については原則として70才未満を対象としていますが、一定の理解力があり
   食事療法を実施できる場合には、それ以上の年齢の方でも診療可能なことがあります。
   (ただし、経験的に70才以上では減量のための食事療法の実践が難しい方が多く、
    あまり成果が得られていません。)


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食事療法

   まず、こちらの食行動質問票を行って、ご自身の食事の問題点を考えてみましょう。

   英語の「diet(ダイエット)」とは、「飲食物」そのもの。
   減量・ダイエットを成功させるために、最も基本的かつ重要な課題が食事です。
   基礎代謝量・日常生活の運動強度などから理想体重へ近づけるために、
   一日当たりの摂取カロリーやバランスのとれた食事についての指導を行います。


   ワンポイント:「エネルギー保存の法則」

   クチから食べた飲食物、腸で吸収されたエネルギー(カロリー)は人間の活動によって
   主に体温を生み出すために消費されますが、残った分はそれだけ脂肪分として体に
   蓄積されてしまいます。

   「それほど食べないのに痩せません」
         あなたの思う「それほど(少ない)」が、他の人から見て
         「そんなに(たくさん)!」ではありませんか?
         食事内容を確認してみると、「減量できない明らかな理由」が
         存在することも多いです。

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運動療法

   体重を減らしたい、という以外にダイエットのご相談で多いのが、

  「おなかの周りを引き締めたい」 「メタボな体型をどうにかしたい」
  「足をスラッと見せたい」


   といった内容です。体重を減らすことだけが「ダイエット」ではありません。
   筋肉のトレーニングを行うことによって、たるんだ部分をより効果的に引き締める
   ことは可能です。食事療法と併用すると、より効果的です。
   ただし、運動療法だけの減量はお勧めしていません。「食べた分だけ運動すれば
   ダイエットできる」といった考え方は危険かもしれません。


   ワンポイント:「体のエネルギーを消費するのは、脳と筋肉(体温の産生)」

   体内に吸収されたエネルギーは、主に脳と筋肉によって消費されます。
   脳の消費カロリーを意識的に増減することはできませんが、筋肉の活動を増やす
   ことでエネルギーは消費されます。最も大きな問題は、「仕事をしている人が
   運動するだけのじゅうぶんな時間を確保することができるか?」ということです。
   食事療法が大切な理由の1つでもあります。

   なお、筋肉は脂肪に比べて重い性質があります(普通の人は水に浮かびますが、
   鍛えたボディービルダー選手は水に沈みます)。このため、運動療法・筋力
   トレーニングの内容によっては、体重そのものは変化がないこともありますが、
   体を引き締めることでおなか周りを初めとして、全身を引き締める効果(外見の
   変化)を期待できます。

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薬物療法

   誤解のないようにご注意いただきたいのですが、医薬品(薬剤)はダイエットに
   絶対に必要なものではありませんし、飲むだけで痩せられる、というものでも
   ありません。あくまでも食事・運動療法が基本ですが、医薬品による治療を
   行う場合には、肥満症に対して効果のある医薬品として、次のようなものがあります。


   ① 防風通聖散料(1日量 7.5g)

    この漢方薬には、脂肪の燃焼を手助けする作用があるとされています。
    成分として、麻黄(マオウ)を含むため、血圧の上昇を招くことがありますので、
    そうしたことに注意しながら用います(単独で血圧が上昇することはほとんど
    ありませんが、持病あるいは隠れた高血圧がある方などでは注意が必要です)。


    飲み忘れや、漢方薬独特の匂い・味などの飲みづらさを解消するために、
    1日2回にわけたスティック状(粉薬)の製品を主に処方しています。
    1日に3回に分割した錠剤を用いることもあります。分割回数が多い製剤のほうが
    副反応が少ないこともありますので、患者さんの状況によって使い分けています。

    また、便秘にも効果がありますが、体質によっては特に使用初期にトイレの回数が
    増えることや、便が緩くなることもあります。防風通聖散は、主に皮下脂肪が多い方に
    向いていますが、水太り体質の方には防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を用います。




   ② マジンドール(製品名 サノレックス®)

    食欲中枢へ直接作用することなどによって、食欲を抑える作用があります。
    食事療法・運動療法の効果がない場合であって、かつBMI(※体格指数)が
    35を超えている場合に限って用いることがあります。

    BMI 体重÷(身長の2乗) 
     例:150cm,50kgの人 BMI 50÷(1.5×1.5)= 50 ÷ 2.25 = 22.22


    痩せ薬(やせ薬)として個人輸入されて服薬されている方もいらっしゃるようですが、
    依存性のある薬品ですので、使用するに当たっては厳重な管理が求められます。


      処方できないケース(例)
       緑内障、重症の高血圧や内臓疾患(心臓・肝臓・腎臓・など)
       一部の精神疾患、アルコール乱用歴(現在・過去問わず)
       妊娠中など

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リンパドレナージ

    リンパドレナージは、リンパ(液)の循環状態を整える手法です。
    (リンパマッサージとも呼ばれていましたが、医学的に行う本来の手技はリンパドレナージと
    名称が統一されました。)
    足が太くて・・・という方の中には、リンパ液の貯留によって病的なむくみ(リンパ浮腫)が
    生じていることがあります。
    肥満症はリンパ浮腫の危険因子とされており、患者さんからもダイエットに関連して、
    リンパドレナージの効果についてご相談されることが多いため、このダイエット相談の
    ページに記載しましたが、脂肪によるむくみ(脂肪浮腫)に対しては、あまり効果が
    ありません。
水分の貯留による一部のむくみには効果的ですので、試してみたいと
    いうご希望があれば、その都度リンパドレナージを行わせていただきます。

    リンパドレナージを継続することで効果が期待できる浮腫の原因としては、リンパ節
    郭清(かくせい)術後が代表的です。外傷・骨折後の浮腫にも行うことがあります。
    (例えば、お酒を飲んだ翌朝に顔がむくむ、あるいは夕方になると足がむくんで・・・
     という場合にも効果が期待できます)。

   ワンポイント:「お酒を飲んだ翌朝、顔がむくむ理由」
    飲酒時には、アルコールの影響で血行が良くなります。特に顔の表面は血管が多く、
    お酒で顔が赤くなるのもこのためです。動脈の血流が増えると、運ばれてくる水分の
    量も増えますが、静脈や毛細血管・組織から吸収される水分の量は限られており、
    運ばれてきた水分はその場にしばらく残ってしまうことになります。これが飲酒後の
    顔のむくみの正体です。同様に、夕方になると足がむくんでだるい・・・という時にも、
    リンパドレナージを行ってみましょう。

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診療チャート
  実際の診療の流れを示します。

   初診時 再診(2週間後)  再診(4週間後)  以降、2週間ないし
4週間単位で診療
 医療機関 ①血液検査
食行動問診調査
③体重・咀嚼回数確認用紙配布
④睡眠検査予約
血液検査
②体重・咀嚼回数確認用紙提出
 食事内容指導(B) 最小限、月1回の診療に加えて
2ヶ月単位で食行動問診表確認。

    表の注記事項
     ※ 必須項目は赤色、その他の項目は黒色で番号を示しています。

      食行動質問票はこちらです。外来では、質問票に記載していただいたものをグラフ化して説明を行います。

      初回血液検査は、3ヶ月以内に総合的な血液検査を行われた場合かつ結果を持参していただいた
      場合には省略します。この項目としては、貧血・肝機能・腎機能・電解質(ナトリウムなど)・アルブミン・
      コレステロール(HDL・LDL・TG)・血糖値が含まれたものとしています。
      再診時の血液検査は、薬剤の副作用確認のために行う簡易検査です。
      初診時の血液検査実施有無とは別途に行います。

     ※ 食事内容指導については、年齢・体格・生活習慣などから推定されるエネルギー所要量を参考にします。
      (こちらのページで計算できます。)
      (A)については、食事内容を3日間記載していただいたものを医師が分析し、これをあわせた結果に基づいて
      食事指導を行います。(B)については診療時間の都合上、食事内容・量を直接確認することができませんので
      前述の情報に基づいて推定値を算出します。ダイエットを決意しているにも関わらず、日々の食生活を
      おろそかにしていると、推定されるエネルギー摂取量(食事の量)には納得できないかもしれません。

      「2,500kcal・・・こんなに食べてないです~」
       ⇒ これを納得していただくには、理論を説明するより食事記録を分析した結果を見ていただくことが
         一番です。特に○○ダイエットといった、いわゆる流行のダイエット法を試してうまくいかなかった
         方は、食事・体質に関する認識不足が原因でダイエットに失敗していることがあります。


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筆者:吉國友和