白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2010.2.3 
           

入浴後の立ちくらみ


その1:冬の浴室、実は危険?!
その2:湯上りの立ちくらみ
その3:寝つきを良くする方法


湯上りの立ちくらみ(脳貧血)
衣服の着脱、入浴中・入浴前後で血圧は変動します。あまり変動が大きいと、健康にとって害となる可能性も

湯船につかって体を温めると、体の血管が広がって、血圧が下がります(あまりに熱いと、交感神経が緊張するため、上昇することも)。簡単な表現をすると、首から下に血液が集中している状態をイメージしてください。この状態でも、脳への血液(循環)は、心臓の拍動によって維持されています。

ところが、長時間この状態が続き、体の血管が十分に拡張した後、いきなり湯船から立ち上がってしまうと、脳の活動に必要なだけの血液を供給することが一時的に難しくなり、立ちくらみ、いわゆる脳貧血を起こしてしまいます。しばらくすると、立ちくらみからは自然と回復しますが、転倒などの事故が起きてしまうことがあります。注意点をまとめます。

  • 何よりも、いきなり立ち上がらないこと(手すりにつかまりながら)
  • 立ち上がるときには、ゆっくりと息を吐きながら
  • 長時間入浴した時には、普段よりも注意
  • ぬるめのお湯でも、立ちくらみをおこすことがある


自分自身の経験ですが、全身浴でゆっくり温まった後は、半身浴(腕はお湯につけたまま)→半身浴(腕をお湯から出す)→浴槽からゆっくりと出る、とすると、いくぶんか立ちくらみをふせぐことができるように思います。

また、ご高齢の方が熱いお湯を好まれるという場合、我慢強いというよりも、体が高温に慣れてしまっていることが多々あります。熱いお湯につかることが江戸っ子の粋というお話もありますが、温度を感じる神経の働きが悪くなってしまうと、火傷につながりかねません。ごく稀ですが、脳腫瘍のために温度感覚が障害されていたという例もあります(肺腫瘍が脳・脊髄へ転移し、こうした症状がみられたケースもあります)。熱いお風呂に息をこらえて無理に入ると、脳の血管にも大きな負担がかかってしまいますので、ほどほどにしましょう。


追記:砲丸投げの選手は、投げた後に大きな声を出します。これは、「気合い」の表現というだけではなく、声を出すことで血圧の急上昇を抑えるためでもあります。脳出血のリスクを少しでも下げるため、お風呂でも息をはきながら、ゆっくりとお湯に入るようにしましょう。


入浴前後で水分補給

寒い冬であっても、長時間の入浴中には汗をかきます。脱水になってから、水分補給をしても吸収されるまでに時間がかかってしまいます。ですから、お風呂上がりの水分補給も大切ですが、脱水を予防するためには前もって水分を補給しておきましょう。

なお、湯冷めを避けるためには、湯船から出る前に氷のかけらを1つ口にしてください。口の中が冷やされた結果、血行が悪いという指令が脳に伝わって、湯上り後にも血管を広げて血行を改善させようとする作用が働きます。


次のページでは、寝つきを良くする方法についてご説明します。


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