白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.7.23 
           

夏風邪はなぜ長引くのか?


その1:夏風邪の特徴
その2:夏風邪をひきやすい生活習慣
その3:夏風邪の治療


夏風邪をひいてしまったら……
風邪をひいて玉子酒
玉子酒(卵酒)を飲む、という人もいらっしゃるのでは?

残念ながら夏風邪に対する特効薬(根本的な治療薬)というものはありません。医療機関では症状を和らげるための総合感冒薬や咳止め、解熱鎮痛剤(頭痛薬)などを処方して、様子をみていただくのが一般的です。なお、ウイルスに対して抗生物質は無効ですので原則として処方しませんが、二次感染による合併症がある場合には使用を考慮します。

また、成人の夏風邪のウイルスはのどから感染を起こすことが多いため、のどに違和感があったら要注意です。そんなとき、海外では薬酒を用いられることもあります。例えば赤ワインに含まれるポリフェノールの消炎作用、あるいは自律神経を整える作用も期待されます(これも根本的な治療ではありませんし、飲みすぎには注意が必要です)。

アルコールが苦手という場合には、ブドウジュース、生姜(ショウガ)・ニラ・ニンニクなどの食材を組み入れた料理も良いと思います。なお、ニンニクにはアリシンという成分が含まれており、空腹で食べると胃を痛めることもありますので、しっかりと火を通すこと。また、体調を崩してから何日も経ってしまっているのであれば、こうした食材はNGです。こんなときには糖質に富んだ消化の良い食べ物が適しています。


夏風邪をひいたときに注意したいこと
夏風邪の予防に洗顔を
帰宅後に、うがい・手洗いはもちろん、顔も洗いましょう。目の粘膜から侵入するウイルスもいます

夏風邪をひいたときには、次のことにも気をつけてください。


お風呂はだめ?

・・・入浴は可能なことが多いです。脱水状態では避けるべきですが、短時間のシャワーだけでも爽快感が得られますし、皮膚に付着したウイルスもしっかりと落としましょう。ただし、あまりに体調の悪いときや高熱がある時には入浴を避けて、タオルやガーゼをお湯に浸して、しっかりしぼってから体を拭きましょう。



早く治そうと、汗をかくために布団をかぶって寝てしまう

・・・×です。夏風邪のウイルスは高温多湿環境に強いうえ、夏の暑い日に無理に汗をかこうとすると、脱水になってしまう恐れがあります。お腹は冷やさないほうが良いので、タオルケットなどをかけてください。



ウイルスの繁殖を抑えるために、帰宅後すぐに冷房を使う

・・・帰宅したら、まず窓を開けてしっかりと換気しましょう。夏風邪のウイルスは多湿な環境に強いので、まずは除湿です。カビや雑菌の繁殖を抑えることも大切です。



熱が出たら解熱剤をすぐに使う

・・・熱は体からウイルスを追い出そうとする免疫の反応なので、無理に下げる必要はありません。ただし、あまりに体がきついという場合には必要に応じて使用してもかまいません。38℃以上の発熱で使う、といった指示が出されることもあります。個人的には、解熱剤の必要性は体温よりも自覚症状次第だと考えています。



咳や下痢は、薬で早く治す

・・・状況次第なのですが、必ずしも正しいとは言えないかもしれません。ウイルスは呼吸器や腸管の中に繁殖していますので、こうした症状を無理に止めてしまうと、かえってウイルスが排出されるのを遅らせてしまうことがあります(※下痢がひどいと脱水を起こしてしまうことがありますので、水分補給を忘れずに。ひどいと感じたら、医療機関で相談しましょう)。

夏風邪を根本的に治す薬というのは存在しません。まずは予防が第一ですが、ひいてしまったら悪化させないような対策をとりましょう。高温多湿な環境、夏風邪のウイルスは日本の夏が大好きかもしれません。


[関連内容のリンク]
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