白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2011.12.20 
           

 

METs(メッツ)、運動強度について考えよう


その1:METsとは?

その2:運動強度と疲労感

附録:運動による消費エネルギー量の計算



どの程度の運動?
誰もがいきなり同じ運動をこなせるわけではありません。疲労の感じ方も大切に

METsは前ページで記載しましたように、消費エネルギー量などを概算するのに便利な数値ではあります。しかし、強度という言葉には違和感のある方もいらっしゃるかもしれません。

例えば、どれぐらいの運動であれば耐えうるのか、といった場合、同じ年齢で同じ体格であったとしても、普段から運動をしている人とそうでない人では同じ運動強度・消費エネルギー量であったとしても、可能な運動量というのは異なります。当然、後者であっても運動を重ねていけば身体の運動能力も向上・順応して、少しぐらいの運動であれば疲労を感じることもなくなります。

このため、認容性あるいは耐用性と表現しますが、どのぐらいの運動が最適であるのかについては個人差が大きく、あくまでもその個人の主観で評価すべきこともあるのです。一例をあげると呼吸器リハビリテーションでは、リハビリの効果そのものは歩行距離で検証することもありますし、息切れを代表とする自覚症状、運動に対する認容性については修正Borg scaleといったもので判断することもあります。


Borg scale(ボルグ スケール)と修正Borg scale

修正Borg scoreの原型となったのはBorg scaleです。これは運動を行う場合、症状が弱い順番に、非常に楽(7)、かなり楽(9)、楽である(11)、ややきつい(13)、きつい(15)、かなりきつい(17)、非常にきつい(19)、もうだめというぐらいきつい(20)、というカッコ内の数値で判定します。点数の範囲は6~20点として、6点を最も楽、20点を最もきついとした場合、運動後、概ねこのスケールで9~13の範囲に収まっているようであれば、ちょうど良い運動強度と考えられます。

このスケールは6点から始まるのですが、この点数を10倍したものが心拍数に近似すると言われています(高血圧や一部の心不全などの治療に用いるベータブロッカーというお薬等を服用している場合には、脈が上がりにくくなることがありますので、必ずしも該当しません)。


一方で、修正Borg scaleは酸素飽和度・血中乳酸濃度などを反映するとされ、呼吸リハビリを中心に応用されています。修正Borgスケールは0~10に0.5を加えた11段階で表します。 Borgスケールと同様に症状の弱いほうから、呼吸困難を感じない(0)、非常に弱い(0.5)、やや弱い(1)、弱い(2)多少強い(4)、強い(5)、とても強い(7)、非常に強い(10)として判定します。


運動強度ということについては、それぞれ異なる視点で検討する必要がありますが、METsが客観的な判定基準であるのに対して、Borg scaleは主観的な判定基準であるとも言えます。心拍数についていえば、ダイエットであれば最大心拍数の60~70%(102~119)、持久力を更に高めるためには70~80%(119~136)の心拍数を運動中に維持することを目安とすることもありますが、何が最適な運動であるのかは、こうした自覚症状や日常生活に組み込むことのできる時間も考慮すべきです。


参考までに、運動時間・距離などから消費エネルギー量を求めるページを作成しましたので、ご利用ください。


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