白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2011.12.20
           

 

METs(メッツ)、運動強度について考えよう


その1:METsとは?

その2:運動強度と疲労感

附録:運動による消費エネルギー量の計算



運動強度(METs)
カロリーと酸素摂取量の関連、全部食べると消費するのに必要な酸素の量は?

まず「カロリー(cal)」という単位についてですが、これは水1kgの温度を1℃上昇するために必要なエネルギー量が1kcalです。炭水化物や蛋白質は1gあたり4cal、脂質は1gあたり9cal、水は0calということが知られています。人体を構成する「脂肪組織」には水分がおよそ20%含まれますので、ダイエットで体重を1kg落とすのに必要なエネルギー量は水分を除いた 9000×0.8kcal、つまり7,200kcalとなります(食べ物の脂肪1gは9calなのに、人間の脂肪組織1gを消費するには約7cal必要という差が生じる理由です)。

人間が食物から摂取したエネルギーを消費する、いわゆるエネルギーの燃焼には酸素が使われます。安静時の1分あたりの酸素摂取量が体重1kgあたり3.5ℓであることから、この酸素消費量を1METsとして定義されます。

 安静時酸素摂取量 = 3.5mℓ / kg / 分 = 1MET(s)

このMETsを1時間に換算した場合、3.5×60(分) = 210mℓ/時間 の酸素消費量に相当します(1時間で体重1kgあたり0.21ℓほど酸素が消費される)。

ところで、酸素が1ℓ消費された場合に生じるエネルギー量は約4.85kcalです。さきほどの0.21ℓの酸素量をエネルギー量に換算した場合、0.210ℓ×4.85kcal/ℓ = 1.02(kcal)となります。つまり、MET(s)として定義した酸素摂取量であるこの単位は、その数値がそのままエネルギー消費量に非常に近似した数値になることから、運動の強さを示すのに便利なのです。全米スポーツ医学会では、様々な運動ごとにこの数値を算出しています。

運動強度(METS)の計算方法

タイトルは計算方法としましたが、実は運動強度(METs)を計算式で求めることはできません。この数値は前述の全米スポーツ医学会から発表されている実測値を基にした、いわば経験から得られた数値です。このため、心拍などから類推する方法なども検討されましたが、実現には至っておらず、むしろ実測値を基にしたほうが実用性も高いのです。

さて、このMETsによる運動の評価ですが、消費カロリー量を求める場合や、どの程度の運動まで許容されるのかといった応用がされるのですが、それでも限界というものがあります。


次のページでは、運動強度による評価の限界についてご説明します。


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