白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2010.2.23 
           

黄砂の影響? アレルギーや喘息が悪化


その1:黄砂に含まれる有害物質
その2:咳、ぜんそくが悪化する理由
その3:黄砂と花粉の共通点


春の風物詩、黄砂とは
くしゃみ・鼻水・鼻づまり…黄砂の舞う季節は、花粉症の季節でもあります

車の屋根や窓ガラスがうっすらと汚れている、山が霞んで見える、などなど。黄砂は一年を通して見られる現象ですが、特に春に観測されることがよく知られています。

黄砂の正体は、東アジアを中心とした、砂漠や乾燥地帯から舞いあげられた砂埃(すなぼこり)です。ただの砂、であればよいのですが、大陸から日本までの長い移動の間には、大気中を漂うカビなどの成分も含んでしまいます。黄砂の成分は石英、長石などの鉱物、ケイ素(原子記号Si)やアルミニウム、鉄などが主体です。一般的な「砂」と大きな違いはないように思われますが・・・。

近年、黄砂の舞う季節に喘息症状が悪化するという人が増えています。数年前の春、ある週刊誌の取材を受けて黄砂と喘息の関連を指摘したのですが、ちょうどその年の夏に開催された呼吸器学会でも、ある大学病院から黄砂と喘息症状の関連を示唆する発表がありました。


国内で観測される黄砂の特徴

大陸から吹き上げられた黄砂の粉じん、日本に降ってくる黄砂には、オリジナルとは異なる特徴があります。

 ① 舞いあがって降り注ぐだけに、粒子径が小さい(1~4μm)
小さいがために吸いこんでしまうと、肺の末梢、吸いこんだ空気終点であるの肺胞にまでは到達しないまでも、かなり細い気管支にまで入り込んでしまう可能性がある。

 ② 大気汚染の影響を受ける
運ばれてくる段階で、硫酸イオンや硝酸イオン、あるいは鉛(なまり)などの重金属を含んでしまいます。こうした黄砂を吸いこんだとしても、黄砂の粒子のほとんどは肺胞にまでは到達しないと考えられますので、体内に吸収されて金属中毒になる、ということはないと考えられます。ただし・・・

 ③ 大気中のカビや微生物の毒素を含む
大気中のカビや細菌の毒素であるLPS(リポポリサッカライド)を含むことがあります。こうした物質を吸いこむことによって、気管支喘息を中心とする呼吸器疾患が悪化する危険性があります。 つまり、黄砂によって気管支喘息が悪化するかもしれない、ということです。


私が住んでいるのは山口県ですが、黄砂が多いと思った「次の日」には、喘息症状や咳のために受診される患者さんが増えるように思います。「次の日」というのがポイントです。私見ですが、その理由を次のページでご説明します。


次のページでは、黄砂が降った翌日に咳がひどくなる理由についてご説明します。


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