白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.11.14 
           

新型ワクチン接種後のインフルエンザ発症


その1:患者背景
その2:臨床経過
その3:考察

※このページはご本人の同意を得たうえで作成しています。

ワクチン接種後にインフルエンザに感染
国内での新型インフルエンザの発症から数ヶ月、全国でも急増しています

10月中旬から医療従事者を対象とした新型インフルエンザに対するワクチンの優先接種が開始されています。この新型ワクチンを接種した方で、今月に入ってインフルエンザの発症が確認された症例を経験しました。

そのご本人の同意を得ることができましたので、その経過について記載したいと思います。ワクチン接種を検討されている方のお役に立つことができればと思います。


患者さんの背景
手洗いやうがい、その効果には限界があるかもしれませんが、感染症対策の基本は小さな努力の積み重ねです

60才 女性
臨床検査技師さん

基礎疾患:高血圧、高脂血症、気管支喘息

概略:私が勤務している病院の検査技師さんです。10月21日に新型インフルエンザワクチンを接種、同30日には季節性インフルエンザのワクチンを接種されました。11月9日に複数のA型インフルエンザ患者さんと接触(検査のため)、同日夜に微熱・足のだるさが出現し、翌日私の外来を受診されました。38℃台の発熱と喘息症状があり、簡易検査にてインフルエンザ抗原が検出されました。

タミフルRなどを処方し、翌日には解熱。咳嗽は続くものの13日の時点では臨床症状はほとんど改善されています(念のため再度抗原検査を行ったところ、陰性でした)。


追記:同様に、10月下旬に新型インフルエンザワクチンを優先接種したにも関わらず、11月下旬にインフルエンザ・喘息発作を合併した症例がありました。


次のページでは、臨床経過の詳細を記載します。


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