白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2010.4.21 
           

犬にかまれた時の治療


その1:イヌに噛まれた時の応急処置

その2:破傷風の予防(ワクチン・グロブリン)

その3:狂犬病ワクチン、ミルウォーキー・プロトコール



イヌに噛まれたら・・・
応急処置
まずはしっかりと水洗いを。狂犬病ウイルスを保有した動物による咬み傷が疑われるようなら、水洗いした後で石鹸水も使ってください

イヌに噛まれた時の応急処置として、まず水道水で傷口をしっかりと洗い流すことが求められます。その上で消毒液を用いた消毒を行うこともありますが、動物のクチの中に常在する様々な雑菌への感染が懸念されるために、全例に抗菌薬(抗生物質)を投与することが原則です。

更に、海外での動物咬傷など、咬まれた状況によっては狂犬病ワクチン・破傷風トキソイド(グロブリン)などの次の対応を検討する必要があります。病院で行う、イヌ・動物に噛まれた傷の治療法について更に詳しく記載したいと思います。


犬咬傷(いぬこうしょう)

犬に限らず、猫のクチの中には様々な雑菌が存在します。ヒトも含めて動物に噛まれた場合には、こうした雑菌が傷口から体内に容易に侵入することになりますので、原則として抗菌薬の投与を行います(ネコはあまり噛まないかもしれませんが、噛まれた場合には同様に考えます。なお、ネコに引っ掻かれた場合には、「ネコひっかき病」という病気についても検討します)。

抗菌薬を使わなかったとしても、傷が自然治癒することも多いのですが、犬のクチに存在する雑菌の種類や数の多さ(攻撃力が強い)、体を守る最初のバリアーである皮膚が傷つけられること(防御力が低下)などを考慮すると、動物に噛まれた場合には抗菌薬を用いるべきというのが一般的な見解です。引き続いて考慮しなくてはならないのが、

  • 破傷風(はしょうふう)
  • 狂犬病


これらの対策です。抗菌薬は原則として全例に投与するべきですが、破傷風・狂犬病の予防に関しては、傷の状態や噛まれた地域(特に海外)など、個々の状態で適切な治療方針を検討する必要があります。


2ページでは破傷風の予防について、3ページでは狂犬病の予防について補足します。


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