白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2010.5.25 
           

抗生物質の皮内テストの意味は?


その1:抗生物質の飲み方(服用についての注意)

その2:抗生物質の味(小児への配慮)

その3:抗生剤・抗生物質・抗菌薬の違い

補足 :抗生物質の皮内テスト

抗生物質のテストはもう古い?

ペニシリンアレルギーに代表されるように、抗生物質にアレルギー反応が出現することがあります。内服と比較して、注射・点滴は血液の中に直接高濃度の薬剤(抗生物質)を投与する方法ですので、効果が優れる反面、副作用が生じた場合のリスクも考慮しなければなりません。

このため、抗生物質の点滴治療を行う場合には、一部の薬剤を除き、あらかじめ少量の薬液を皮膚に注射して、かゆみや腫脹(赤く腫れてこないか)といった即時型のアレルギー反応を確認するテストを行ってから治療が開始されていました。

ところが、こうしたテストを行って問題がないと判定された場合であっても重篤なアレルギー反応が出現することもあって、テスト結果が必ずしも正しいとは言えない、テストそのものに意味がない、ということが次第にわかってきました。

このため、近年では過去に同系統の抗生物質によってアレルギーが起こったことがないことを問診などで確認した上で、治療中はもとより治療前後まで血圧測定や意識状態を確認することで、不要なテストを行わないようになっています(従来、抗生物質の注射薬にはアレルギー検査のためのテスト液が付属していましたが、初めからテスト液が付属していない製品も多くなりました)。


現代ではまずあり得ませんが、過去の製薬技術では、純粋や薬剤の他に不純物が混入していた、ということがあったようです。過去にペニシリンアレルギーがあった、という方の中にはペニシリンそのものではなく、不純物によってアレルギーが引き起こされていたという可能性も否定できません。


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