アナフィラキシー・ショックの補助治療薬:エピペン®


  ① アナフィラキシーとは?

    ハチに刺されたり、食物を摂取した後、数分から数十分後に様々な
    急性のアレルギー症状が出現することがあります。軽症であることが
    ほとんどですが、重症の場合には呼吸困難や意識障害を引き起こし、
    死に至ることもあります。
    このような短時間で生じる重症のアレルギー反応をアナフィラキシーと呼びます。


  ② アナフィラキシーの原因は?

    過去に何らかのアレルゲン(アレルギーの原因物質)によって、アレルギーを
    生じるようになった場合、再度そのアレルゲンを体内に取り込むことで
    体内ではそのアレルゲンを排除しようと過剰な免疫反応が起こります。
    アレルゲンは、食物(ソバ、小麦、イチゴなど)、薬剤、ハチ刺されなど様々です。
    また、食後の運動がきっかけになることもあります。


  ③ アナフィラキシーの症状

    全身症状として、熱感や脱力感、冷や汗などが出現します。
    この他にも様々な症状があり、代表的な症状としては喘鳴(ぜんめい)や
    呼吸困難感などの呼吸器症状、嘔吐・下痢などの消化器症状、かゆみや
    真っ赤になるといった皮膚症状、口の周囲や手足のしびれ感、目の前が
    暗くなるといった神経症状、動悸や胸が苦しいといった循環器症状があります。


  ④ 治療について

    アナフィラキシー・ショックでは、呼吸・循環管理(酸素や血圧など)や
    薬剤による治療を行いますが、例えば山中でスズメバチに刺されたときなど
    症状が出現してから医療機関を受診(救急搬送)されるまで、かなりの時間が
    かかってしまうことがあります。

    このような状況下では、一刻を争う救命処置が求められます。エピペンは
    アドレナリン(エピネフリン)を含む注射薬であり、アナフィラキシー出現時に
    自己注射を行うことで、気管支を広げて呼吸器症状を改善し、心臓機能を
    増強して血圧上昇作用などにより、一時的にショック症状を改善する効果があります。
    つまり、医療機関を受診して正式な治療を行うまでの対症療法です。

    エピペンを注射することでアナフィラキシーに伴う症状がやわらいだとしても、必ず
    医療機関を受診するようにしてください。


  ⑤ エピペンの処方について

    気管支喘息や食物アレルギーで重篤な症状が出現したことのある方、
    もしくは山登りなどでスズメバチに遭遇する危険性の高い場合には
    携帯しておくのも防衛策の1つです。

    エピペン注射薬は2011年秋より保険適応となりました。丘病院(山口市)・光中央病院(光市)ともに
    処方することができますので、ご希望のある方はご相談ください。



   参考リンク : スズメバチの対策と応急処置(クマバチ、クマンバチとは?


筆者:吉國友和