注:FDAによるこの基準(分類)は2015年に撤廃されましたので、参考にとどめてください。

 FDAとは?

  「Food and Drug Administration of the United States Department of Health
    and Human Service」という、米国(厚生省)食品医薬品局の略語です。
  日本でいうところの厚生労働省に所属する機関で、食品・医薬品(及び化粧品)に関する
  法律の施行を行っています。アメリカではFDAにより、食品・医薬品などの安全性が
  管理され、国民の健康が守られています。

  (米国厚生省:DHHS:Department of Health and Human Servise)


  吸入ステロイド剤は、
  「妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると
  判断される場合のみ投与すること(動物実験で催奇形作用が報告されている)。」
  (日本医薬品集)とあります。

  しかし、妊娠中に気管支喘息の発作が生じると、時として胎児へ影響が現れることがあり、
  特に母体が呼吸不全となるような重篤な発作の場合、低酸素血症による流産などの
  危険性が高まりますので特に注意が必要です。

  当科では、気管支喘息に対する治療としてパルミコート(アストラゼネカ株式会社)などを
  標準的に用いていますが、ここでは安全性に対する使用根拠となる、米国FDAによる
  吸入ステロイド剤の薬剤胎児危険度分類を示します。
  
端的にはカテゴリーAが最も安全性が高いという証拠があるもので、以下B,Cと続きます。



カテゴリー FDA基準
ヒトの妊娠初期3ヶ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、
またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠もないもの。
動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での
対照試験は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な
作用(または出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠期
3ヶ月の対照試験では実証されていない、またその後の妊娠期間でも
危険であるという証拠はないもの。
動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用が
あることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。
あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類
される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合に
のみ使用すること。
ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、
妊婦への使用による利益が容認されるもの。(例えば、生命が危険に
さらされているとき、または重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないとき、
あるいは効果がないとき、その薬剤をどうしても使用する必要がある場合)
動物またはヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいは
ヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、またはその両方の
場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに
危険性の方が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦または妊娠する
可能性のある婦人には禁忌である。





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筆者:吉國友和          


薬剤胎児危険度分類について