FDAとは?
「Food and Drug Administration of the United States Department of Health
and Human Service」という、米国(厚生省)食品医薬品局の略語です。
日本でいうところの厚生労働省に所属する機関で、食品・医薬品(及び化粧品)に関する
法律の施行を行っています。アメリカではFDAにより、食品・医薬品などの安全性が
管理され、国民の健康が守られています。
(米国厚生省:DHHS:Department of Health and Human Servise)
吸入ステロイド剤は、
「妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると
判断される場合のみ投与すること(動物実験で催奇形作用が報告されている)。」
(日本医薬品集)とあります。
しかし、妊娠中に気管支喘息の発作が生じると、時として胎児へ影響が現れることがあり、
特に母体が呼吸不全となるような重篤な発作の場合、低酸素血症による流産などの
危険性が高まりますので特に注意が必要です。
当科では、気管支喘息に対する治療としてパルミコート(アストラゼネカ株式会社)などを
標準的に用いていますが、ここでは安全性に対する使用根拠となる、米国FDAによる
吸入ステロイド剤の薬剤胎児危険度分類を示します。
端的にはカテゴリーAが最も安全性が高いという証拠があるもので、以下B,Cと続きます。
カテゴリー | FDA基準 |
---|---|
A | ヒトの妊娠初期3ヶ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、 またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠もないもの。 |
B | 動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での 対照試験は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な 作用(または出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠期 3ヶ月の対照試験では実証されていない、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はないもの。 |
C | 動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用が あることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。 あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類 される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合に のみ使用すること。 |
D | ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、 妊婦への使用による利益が容認されるもの。(例えば、生命が危険に さらされているとき、または重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないとき、 あるいは効果がないとき、その薬剤をどうしても使用する必要がある場合) |
X | 動物またはヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいは ヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、またはその両方の 場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに 危険性の方が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦または妊娠する 可能性のある婦人には禁忌である。 |