白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2012.3.19 
Modified:2014.4.11
           

 

喘息治療薬ゾレア®とは?


その1:ゾレア®皮下注射の容量設定、治療にかかる薬価

その2:ゾレア®とは?



ゾレア®の特徴
ゾレア®は難治性の気管支喘息に対して効果が期待されます

ゾレア®はこれまでの治療によってもコントロールが困難な、難治性の気管支喘息に対する治療薬(注射製剤)です。体内の「IgE」というアレルギーの物質に結合することで、治療効果を発揮するものです。

アレルギーの物質そのものを標的とし、従来の吸入ステロイドや抗ロイコトリエン受容体拮抗薬(アレルギー薬)とは異なる、新しいタイプの薬剤ですが、前ページで計算してもわかるように薬価の高いことがネックです(16週間を目安に治療を行い、継続するかどうかを判断します)。


ゾレア®の保険適応基準(2014.4.11追加記載あり)

ゾレア®を処方するに当たっては、以下のような基準があります(保険適応の基準)。

  • 高用量の吸入ステロイド薬及び複数の喘息治療薬を併用しても症状が安定しない
  • 通年性吸入抗原に対して陽性を示す(ダニなどのアレルギーがある)
  • 体重・IgE値が一定の範囲内である(前ページで確認可)


 ※症状が安定しないとは
   成人の場合
    ① 喘息による明らかな呼吸機能の低下(FEV1.0が予測正常値の80%未満)
    ② 毎日喘息症状がある
    ③ 週1回以上夜間症状がある

   小児の場合
    ① 毎日喘息症状がある
    ② 週1回以上夜間症状がある
    ③ 週1回以上日常生活に影響がある

こうした条件をすべて満たす場合に保険適応となります。その作用機序から、IgE値が極端に高い場合には、体内に存在するIgEをゾレア®では抑えきることができないと考えられるため、保険適応となっていませんが(年齢・体重などにもより、現時点では概ね1500 IU/ml以上)、1,500~2,000IU/mlでも効果のあった例が国内外で示されています。

また、本来は難治性気管支喘息治療薬ですが、喘息を併発することが多く、難聴に至る危険性の高い好酸球性中耳炎などについても効果が期待されています(現在のところ好酸球性中耳炎そのものでは保険適応外です)。

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