白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2010.3.26 
           

禁煙の成功率を高めるには?


その1:タバコは悪いもの、と感じている喫煙者

その2:家族のタバコをやめさせるには?



タバコを有害だと感じている喫煙者
禁煙
無理に禁煙するほうがストレスになる、とおっしゃる方もいらっしゃいますが……

あるテレビ番組で、「明治時代の教科書にはタバコを推奨する記述があった(政府が税収のために喫煙を推奨していた)」という放送を見たことがあります。しかし、現在の医学的観点からは、少なくともタバコを推奨することはできませんし、受動喫煙の影響も懸念される昨今、タバコは吸う人だけの問題ではなくなっているのも事実です。

もちろん、「他人に迷惑をかけなければ、吸うか吸わないかはその人の自由だ。」という意見もあると思います。喫煙者にとって、タバコというのは数ある嗜好品の1つに過ぎないかもしれません。それでも一度は、「禁煙しよう!」と決意をした経験のある喫煙者が多いのは、タバコは体にとって好ましいものではないということを、頭の中では理解されているからではないでしょうか。

その反対に、タバコを吸ったことがない人にとっては、
「健康に悪いとわかっているのに、なぜタバコを吸いたくなるの?」
と疑問に感じることがあります。こうしたことをお互いに理解するためのキーワードは、「依存」です。


「わかっちゃいるけど、やめられない」・・・のはナゼ?
喫煙をする男性
タバコを吸うことで得られる快楽……それは「依存」という病気かもしれません

タバコと大麻、まとめて論じるわけにはいきませんが、両者とも昨今話題となることが多いようです。どちらも依存(いぞん、いそん)を形成することがあります。依存とは、「それ」がないと、不快な精神的・肉体的症状を招くことです。一般的には、中毒と表現されることもあります(医学用語としての「中毒」とは概念が異なるように思います)。

社会的にも問題となっている大麻、アルコール、ギャンブル……今回の主題であるタバコも依存症を起こすことはよく知られています。タバコの依存については、「精神的な依存」と「肉体的な依存」というものが混在します。


肉体的依存・・・・・・禁煙開始から3日ぐらい。イライラ、不安感が強くなる。
              ニコチンが急激に体内から失われることが原因となるため、喫煙者に
              とっては、最もつらい時期と感じることも。
精神的依存その1・・・禁煙から3週間。「何となく物足りない」。
              肉体的な依存が解消されたのに、喫煙していたという習慣から完全に
              抜け出すことができない。周りでタバコを吸っている人の姿を見たことで
              禁煙に失敗することも。
精神的依存その2・・・禁煙から3ヶ月以上。せっかく禁煙に成功したのに、お酒の席で
              1本タバコをもらったのをきっかけに、そこからずるずると・・・など。
              3ヶ月以上というのが大事なところです。半年でも1年でも、油断をすると
              ちょっとしたことから再びタバコを吸い始めてしまうことが!


依存による症状が出現しやすいのは「3」のつく時、と覚えましょう。

参考:3の倍数のときは…で有名な、世界のナベアツさんを思い出すと覚えやすいかもしれません。
   「1…2…さん! 4…5ぅ…ろく!」

禁煙が難しいのは、こうした「依存」という理由があるためです。仮にある人が禁煙に失敗したとしても、その人を責めるのではなく、ニコチン依存症という病気のためということを理解してあげる必要があります。そして、何度でも禁煙にチャレンジすることを目指していただくことが肝要です。禁煙に成功した人であっても、それまで3度・4度となく失敗した経験をお持ちであることも珍しいことではありません。

また、周りの方からの協力を得ることができれば、禁煙の成功率をより高めることができます。
次のページでは、家族の禁煙をサポートする方法を考えてみましょう。

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社会的問題の大麻は使っても罪に問われない?!・・・法律の矛盾

大麻とタバコは別の問題ですが、健康な人にとっては両方とも好ましいものではありません。ところで、大麻は使用(吸入など)したことが尿検査で判明したとしても罪にはならず(罰則規定がない)、所持・栽培・輸入などによって初めて罰則が定められているそうです。

この理由として、大麻の成分である「カンナビノイド」は、体内にもともと存在していること、麻の葉を焼却した場合にそうした成分を意図することなく吸入してしまうという可能性を否定できない、といった事情もあるようです。尿検査で陽性反応が出るだけでは逮捕されない、というのは、こうした背景からなのですが・・・。

ずいぶん昔に定められた法律であるがために、持っていると犯罪、使っただけでは犯罪ではない、という矛盾が生まれてしまったようです。喫煙を推奨していた明治時代の教科書は幾度となく改訂されていますが法律は改正されないのでしょうか……いったんは「所持」しないと「使用」できないのでは? と思うのは素人考えなのでしょうね。いずれにせよ、大麻は使用も所持もダメです!