梅雨のカビで肺炎に!
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浴室のカビ、放っておくととんでもないことに?!
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過敏性肺臓炎を過敏性肺炎と呼ぶこともありますが、あえて「肺臓炎」と呼ぶのは、炎症の場が空気の交換を行う肺胞の内部(実質)ではなく、肺胞の周囲(間質)にあるためです。
肺胞内の炎症であれば、内部に白血球や細菌が炎症を起こした結果、痰として出てきますが、間質に炎症を起こした場合には痰がそれほど多くは作られません。このため、一般的な肺炎の症状は、発熱・咳・痰ですが、過敏性肺臓炎では主に次のような症状が現れます。
- 咳(痰は出てもそれほど多くありません)
- 息苦しくなる
- 熱が出る
この他、過敏性肺臓炎の特徴として次のようなことがあります。
- 家にいるときに症状があるけれど、旅行・出張に出かけると調子が良くなる
- 同居する家族に同じ症状がある(家庭内のカビが原因の場合)
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梅雨は食べ物も傷みやすい季節です。食中毒にも気をつけましょう。
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過敏性肺臓炎は感染症ではなく、アレルギー反応ですから、原則として治療は原因物質(抗原)との隔離です。前述のように、旅行や出張などで原因物質と離れるだけで軽快しますので、この病気が疑われた場合には検査も兼ねて入院となります。
重症例、あるいは症状を少しでも早く改善するためにはステロイド剤の投与を行いますが、入院して経過をみるだけで自然に過敏性肺臓炎は改善します(※)。なお、抗生物質や抗真菌剤は、原則として必要ありません。
(※)自験例ですが、自然経過を見た場合には、数日間で呼吸困難感などの自覚症状は改善し、レントゲンのカゲ(陰影)も消えてきました。完全にレントゲンの肺炎像が消えるまでにはおよそ2週間ぐらいかかりました。
原因物質であるカビに接触しなければよいという簡単な治療ではあるのですが、入院して良くなったとしても、同じ環境の生活に戻ると過敏性肺臓炎を再発してしまいます。家屋のカビというのは、普通に掃除をするだけでは完全に除去することができず、慢性化することもあるため、リフォーム・転居などが必要となることもしばしばです。
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