消化性潰瘍

    消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)

・消化性潰瘍とは?

 胃または十二指腸に潰瘍と呼ばれる、まるで地面に浅い穴を掘ったような、
 粘膜の欠損です。


      

      この写真は、十二指腸潰瘍の症例です。少し黄色を帯びた部分が
      潰瘍病変です。


・原因は?

 ヘリコバクター・ピロリという細菌(ピロリ菌)と抗炎症薬(解熱や痛み止めに
 使う薬)が2大原因ですが、後者は薬を服用しているのですぐに因果関係が
 わかります。


 ピロリ菌は胃の中に棲息している細菌ですが、慢性的に炎症を起こして消化性潰瘍を
 起こしやすくしていると考えられています。





・症状は?

 みぞおちの痛みで、空腹時や夜間に強くなるのが特徴です。
 食事をとると軽くなるので最初は大したことないと思いがちです。


 これ以外に、おなかが張る、吐き気がする、食欲がない、胸焼けがする、などの
 症状も出ることがあります。




・放って置くと?

 テレビ番組ではありませんが、大変なことになることがあります。1つは出血です。
 血を吐いたり、真っ黒な便が出たりします。もう1つは潰瘍がどんどん深くなって
 胃や十二指腸の壁に穴があいてしまうことです。こうなると入院して止血処置や
 外科手術が必要になります。




・検査は?

 症状をおうかがいして消化性潰瘍が疑われたら、内視鏡(胃カメラ)で胃と
 十二指腸を見ます。潰瘍が見つかったら、胃の粘膜から小さな組織をとって
 ピロリ菌の検査をします。
20分程度で結果が出ます。

  消化性潰瘍の割以上のかたにピロリ菌が見つかります。



・治療は?

 ピロリ菌が見つかったら除菌をおすすめします。種類の薬を週間服用します。
 その後は潰瘍の治療薬だけをすっかり良くなるまで続けます。

 
 除菌治療によって、9割以上のかたは再発しないことが証明されています。
  ただし、ガンの発生を完全に予防できるものではありません。


 なお、潰瘍の治り具合を見るのと、ピロリ菌が全滅したかを確認するために、
 除菌後
ヶ月以上経過したら内視鏡検査をおすすめします。



筆者:吉國友和