逆流性食道炎

          逆流性食道炎とは?

    -胃酸の食道への逆流が増加して炎症を起こしてしまった状態です。

   このページの作成にあたっては、山口大学医学部付属病院臨床医学検査部教授の
   日野田先生に多大なご協力をいただきました。

      逆流性食道炎の内視鏡検査写真です

    逆流性食道炎の患者さんの内視鏡検査です。食道から
    胃につながる部分を見ています。
    写真では白っぽく見えている部分に炎症が存在しています。

・症状は?

 「食後の胸やけ」です。胸骨の裏側あたりに感じることが多いのですが、
 感じる場所は人によって多少ちがいます。もっと上の方だったりみぞおちの
 あたりだったりします。刺激の強い(あまい、からい、すっぱい)ものや
 脂肪の多いものを食べたあと、飲酒のあとなどに出やすいことが知られています。


 「胸の痛み」として感じることもあり、心臓かな?と思ったりします。



・原因は?

 食道と胃の境目は括約筋といって、喩えが悪いかもしれませんが、肛門のように
 必要なとき以外はきちっと閉まっているものなのです。それがゆるんで胃酸の逆流が
 増えるためにこの病気が起こると考えられています。しかし、どうして括約筋が
 ゆるむのかはまだよくわかっていません。タバコ、食べ物や薬の一部に括約筋を
 ゆるめる作用のあることが知られています。




・治るの?

 胃の酸分泌をおさえる薬を服用しますと、8割以上の方は完全に症状が消えて
 治った状態になります。しかし、ここが問題なのですが、薬を止めると1年以内に
 再び症状が出てくる確率も8割なのです。この病気はいったん出てしまうと根本的に
 治すのは薬では難しいのが現状です。


 では一生胸やけをかかえてくらさなければならないのかというと、そんなことは
 ありません。維持療法といって、一度なおったらその後は少量の薬を飲み続ける
 ことで、良い状態を維持することができるのです。




・どんな検査をするの?

 内視鏡検査(胃カメラ)です。食道と胃・十二指腸の状態をしっかり調べることで、
 治療に役立つ情報が得られます。




・治療はくすりを飲むだけ?

 早く症状をなくすために胃酸分泌をおさえる薬を服用していただきます。しかし、
 タバコ、食習慣(食べ物の種類や食べ方)、ほかの薬など、胸やけを悪化させる因子を
 除くこともとても大切です。それだけで胃酸をおさえる薬が不要になることもある
 くらいです。


 1割くらいの方は、薬だけでは不十分で、外科手術を必要とすることがあります。


筆者:吉國友和