白鯨の健康日記 筆者:吉國友和  update:2009.11.26 
           

過去問題


山口鴻城高等学校衛生看護科(1年生)・呼吸器疾患の過去問題です。
これを基本として、今年度の問題を作成しています。

2008年度

呼吸器科試験(試験時間30分)

問題1 カッコ内の語句を選択肢から選びなさい。(1問2点)
(1) 気管支の分岐角度は右が約(①)度、左が(②)度で、右の方が(③)であるため右気管支の方に食べ物は落ち込み(④)。
 ①:0、25、50 ②:15、30、45 ③:急角度、緩い角度 ④:易い、難い

(2) 上気道とは鼻から(⑤)までで、下気道と異なり一般的な細菌(雑菌)が存在する。
 ⑤:口蓋垂、声帯、気管支

(3) 肺の構造は右肺が(⑥)、左肺は(⑦)に解剖学的に分けることができる。
 ⑥:2葉、3葉、4葉 ⑦:2葉、3葉、4葉

(4) 肺胞にある呼吸をつかさどる肺胞上皮細胞にはⅠ型、Ⅱ型とあり、そのうち (⑧)型がガス交換に直接関与し、もう片方の(⑨)型細胞は(⑩)を分泌する。
 ⑧:Ⅰ、Ⅱ ⑨:Ⅰ、Ⅱ ⑩:ステロイド、サーファクタント、アミノグリコシド

(5) 肺の血管支配は気管支動静脈、肺動静脈の二重支配であり、そのうち空気中の酸素を全身に取り込むためのガス交換を行うための働きをするのが(⑪)である。
 ⑪:気管支動静脈、肺動静脈

(6) 痰を伴わない咳を(⑫)、伴う咳を湿性咳嗽と呼ぶ。
 ⑫:乾性咳嗽、非産生性咳嗽、低分泌性咳嗽

(7) 特徴的な咳嗽を呈する疾患を答えよ。
 夜間から明け方の咳嗽・・・(⑬)   
 就眠後数時間・・・(⑭)   
 犬吠様・・・(⑮)
  ⑬、⑭、⑮、:肺水腫、クループ、気管支喘息

(8) 細菌感染を疑わせる喀痰の性状は(⑯)であり、肺水腫では(⑰)が特徴的。
 ⑯:膿性、蛋白性、漿液性 ⑰:クリーム状、泡沫状、粘液状

(9) 血痰が出現する頻度が多い疾患は肺結核、気管支拡張症ともうひとつは(⑱)。
 ⑱:原発性肺クリプトコッカス症、肺癌、肺動静脈奇形

(10)自然気胸を起こす患者さんの背景は若年、(⑲)、(⑳)が比較的多い。
 ⑲:やせた、太った ⑳:男性、女性

問題2 以下の問いに答えなさい。(1問3点)
(1) 5~25歳ぐらいの健康な人に起きる肺炎で、原因として多い病原体はマイコプラズマともう1つは(①)である。

(2) 炎症とは疼痛、腫脹、(②)(③)の4兆候を主体とする。
 ヒント・・・両方とも「発○」、ねんざしたときを考えてください。

(3) 呼吸不全の定義は室内気吸入時(治療のための酸素を吸わない状態)での、動脈血酸素分圧が(④)Torr以下のとき。そのうちのⅠ型呼吸不全では(⑤)分圧が45Torr以下で、Ⅱ型ではそれが45Torr以上になる。

(4) 肺結核では結核菌がどれだけ喀痰中に存在するかの指標として(⑥)号数を用いる。
 ヒント・・・ピクシー、ガフキー、ベッカム、レジオネラ、ツベルクリン

(5) 肺機能検査について答えなさい。%肺活量が(⑦)%以下を(⑧)障害、 一秒率が(⑨)%以下を(⑩)障害と呼ぶ。

(6) 息切れや呼吸困難を表す分類でHugh(ヒュー)-(⑪)分類があり、その最重症は第(⑫)度である。

問題3 次の問いに答えなさい。(1問4点)
(1) 肺気腫、慢性気管支炎をあわせて慢性閉塞性肺疾患と呼びますが、この「慢性閉塞性肺疾患」をアルファベット4文字で何と言うでしょう?(①)
 ヒント:英語の略語です。慢性・・・Chronic

(2) 肺癌はその組織により大きく分類すると4つの種類があり、(②)・大細胞癌とタバコとの関連性が指摘されている(③)・小細胞癌がある。

(3) Ⅱ型呼吸不全ではいきなり高濃度の酸素を与えてしまうと、二酸化炭素が蓄積されかえって意識状態が悪化してしまうことがあるが、この状態を(④)と呼ぶ。
 ④:(CO2)ナル○○○○(○にカタカナを!)

(4) 還元型ヘモグロビンが5g/dl以上になると口唇や指先などが紫色になりますが、この状態を何というでしょう?(⑤)

(5) 肺機能検査のうち、残気量が増加する疾患は次のうちどれですか?(⑥)
(2つとも答えることができて正解です。肺機能検査をすべきでない選択肢も含まれています)。
A:気管支喘息  B:COPD  C:間質性肺炎(肺線維症) D:気胸


解答例(青字は補足です

問題1 (1問2点)
(1)①: 25   ②: 45   ③:急角度  ④:易い
口腔内の雑菌が肺内部に食べ物や唾液などと共に入ることで生じる誤嚥性肺炎をイメージしてください。寝たきりの状態では重力の関係で背側に生じやすくなります。その他、気管支の径(太さ)や角度も関連します。

(2)⑤:声帯
原則として、下気道は無菌状態です。気管支鏡検査では、外部からカメラを挿入しますので、清潔を保っていたとしても肺炎などの合併症のリスクが生じます。

(3)⑥: 3葉    ⑦:2葉

(4)⑧:Ⅰ      ⑨:Ⅱ  ⑩:サーファクタント
選択肢の「アミノグリコシド」とは抗菌薬の種類の1つです。なお、抗菌薬を「抗生剤」と呼ぶのはなるべく避けましょう。「抗菌薬」あるいは「抗生物質」が正しい医学用語です。

(5)⑪:肺動静脈

(6)⑫:乾性咳嗽
「乾性咳嗽」は、タンのからまない、いわゆる「からぜき」のことです。

(7)⑬:気管支喘息 ⑭:肺水腫 ⑮:クループ

(8)⑯:膿性     ⑰:泡沫状
肺水腫では、泡沫状・ピンク色をしたタンが見られることがあります。

(9)⑱:肺癌
他の病気でも血痰が出ることはありますが、まず考えるべき病気という意味で、ここでは「肺がん」を正解としました。なお、早期の肺がんでは、無症状ということもよくあります。

(10)⑲:やせた   ⑳:男性
一般的な自然気胸については解答通りですが、生理(月経)に伴って、繰り返し発症する気胸もあります。月経随伴気胸(catamenial pneumothorax)と呼ばれます。肺内に子宮内膜が存在することが原因で、外科的切除が行われます。


問題2 (1問3点)
(1)① 肺炎球菌
肺炎の起炎菌(原因病原体)はやはり肺炎球菌の頻度が高く、細菌性肺炎のうち20~30%ぐらいです(頻度については調査する医療機関によってもまちまちです)。端的な例ですが、通常の軽症肺炎でいきなり大学病院を受診することはそれほど多くない(市中の病院や診療所を受診し、必要であれば高度な医療機関に紹介となるため)、というのは比較的理解しやすいのではないでしょうか。年齢を踏まえると、小児ではマイコプラズマの頻度が高くなります。

(2)(順不同) ② 発赤   ③ 発熱
ねんざをしたとき、赤くなって腫れてきて、熱くなって痛みを伴う・・・と覚えてみましょう。

(3)④ 60 Torr      ⑤ 二酸化炭素(CO2でも可)
体内の酸素を示す場合、サチュレーションは飽和度(パーセント)、絶対量を表す単位はトールです。

(4)⑥ ガフキー

(5)⑦ 80 %      ⑧ 拘束性  障害 ⑨ 70 %      ⑩ 閉塞性  障害

(6)⑪ Hugh-Jones(ジョーンズ)(英語かカタカナ)  ⑫ Ⅴ 度(ローマ数字)
呼吸困難を表すのに、古典的な分類がH-J分類です。リハビリテーションなどの現場では、修正ボルグスケール(Borg-scale)なども用います。

問題3 (1問4点)
(1)① COPD 

(2)② 腺癌      ③ 扁平上皮癌 

(3)④ CO2  narcosis(ナルコーシス) (英語かカタカナ)

(4)⑤ cyanosis(チアノーゼ) (英語かカタカナ)

(5)⑥ AとB